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社会人として大学院を受験した頃

2012-06-06
馴染みの店で常連の方と談笑していると、社会人大学院の話題になった。お互い、自己の将来のあるべき姿を語っていると、いつしか過去にどう歩んで来たかという話題に遡った。過去は今を支え将来の礎となる。まさにそんなことを自覚する会話が展開した。

中学校・高等学校の専任教員を10年近く続けてきた頃、教壇に立つ自分こそが誰よりも学ぶべきではないだろうかという現状への疑問が頭をよぎった。3年を1サイクルとして展開する学年担当業務が3巡目となり、定番教材が収められている教科書を扱い一定の授業の“型”ができた頃でもある。教員としての業務を支障なく繰り返すことには、実に安定して慣れてきた時期でもある。だが、同時に現状のままでいいのだろうかという閉塞感が涌いてきたのである。そのまま安定に安定を重ねていくという生き方を傍目にして、社会人として大学院への入学を決意した頃である。

大学院に入学する手段は、2通りあった。一つは「社会人入試」、いま一つは言わずもがな「一般入試」である。「社会人入試」を受験するには、勤務校の推薦書が必要であった。それさえあれば、「小論文・面接」のみの入試に挑戦できた。同時に、勤務校からの理解も得られ、確実に入学への道が敷かれる。だが、その道を自ら選択することはなかった。勤務校で同意が得られないと勝手に思っていたことと同時に、自らの力の全てで入試の壁に挑戦したかったからである。一般入試の受験科目は、「専門科目」と「外国語」の2科目。「専門科目」は、自己の研究したい領域でもあるが、それでも「日本文学・国語教育」の基礎知識を徹底的に復習した。更に問題なのは、「外国語」である。昨日の小欄にも記したように、学部時代から親しんでいた「中国語」を選択し“受験勉強”を開始した。

週に2度ほどであったか、勤務を終えてから自転車を飛ばして中国語学校に通い、基礎からやり直した。10年近く教える立場のみを経験してきた感覚で、教室で外国語を学ぶ側になるというのは新鮮でもあった。しかし、日中の勤務の疲れが出てしまうこともあり、眠くなってしまい目がうつろになると、中国人講師に「立ちなさい」と言われて、暫く立って授業を受け続けたこともあった。「大丈夫です」と言っても、その講師は立たせることに妥協はなかった。語学を学ぶことの厳しさと貴重さを肌で感じ取った。

また、「専門科目」の基礎知識ノートを作成し続けた。夏休みも時間さえあれば図書館に通い詰めて、ひたすらペン蛸ができるまで、基礎知識の整理を書き尽くした。それを行うことで、改めて日本文学や国語教育への視座が開拓された。10年間歩んで来た教員生活での教材研究がいかに浅かったかも痛感した。かくして、約1年半の“人生第二の受験勉強”を経て、「一般入試」で大学院受験を迎えるに至った。

入試は9月下旬。今でも忘れないが、当日は台風が東京地方に接近していた。それでも平常心を保ち、受験会場に一番乗りで入った。強風と豪雨が吹きすさぶ外の状況を尻目に、集中し尽くして2科目の問題に全力で取り組んだ。これまた10年間、試験をひたする作成する側であった自分が、合否を賭けての試験に臨んだ。この逆転の気持ちを素直に持てることが、大変貴重なことであったと今にしても痛感する。

合格発表は、当時はまだ掲示板に貼り出されていた。そのPCからプリントアウトされた“4桁の数字”(自分の受験番号)を見たとき、それまでの努力が一瞬にして報われた思いがした。「外国語科目」の解答が不十分ではないかと省みていただけに、「合格」に達して新たに学べるという状況になったことに、至福の悦びがあった。かくしてその次年度の4月から、晴れて修士1年生となった。

昨晩、或る方と会話の中で語ったことについて聊か観点を変えて、
自分の過去の足跡を今朝は記したくなった。

社会人として仕事を持ち、そんな中で学びたくなった時こそ、
真に学ぶチャンスなのであると回想できる。

だがしかし、大学院に入学すればいいというわけでもない。
入学したら、いかに自分を追い込んで学ぶかが大切なのだ。

そんな過去が今を支えていることを、改めて反芻すべきなのかもしれない。
これは、僕の社会人大学院体験の、ほんの一部に過ぎない。
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コメント:
初めまして。
最後の方に書かれている
「入学したら、いかに自分を追い込んで学ぶかが大切なのだ。」が
わかり過ぎて心が痛いです。

私の場合は年齢が高すぎました。
年齢のせいにしてはならないと心では思っていますが、
物理的に無理なものは無理なのだ、と最近思います。

学びたいことがたくさんあるのに
体力が追いつかない。

大学院入試は「一般入試」で入る方がいいですよね。
私は社会人枠で受験しましたが、
試験内容は一般入試とすべて同じでした。
推薦状とかも特になかったです。

世の中に貢献できる研究がしたいです。

[2012/06/10 16:00] | shiro38 #AkT6zNNU | [edit]












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