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マイナー契約からの誇り―川崎宗則の生き方

2012-05-13
シアトルマリナーズの選手が、社会貢献事業の一環としてある小学校を訪問したという。そこで、今季からマリナーズに所属する日本人選手・川崎宗則が次のように英語で挨拶をした。

“Hi all. My name is Munenori Kawasaki. Call me Mune. I’m from Japan. My English isn’t good now. Because I’m Japanese.”


中学生レベルの単語と文法構成、勿論、発音も儘ならず日本語訛り甚だしく話したと報じられているが、即座にこの一文には大きな意味があると感じた。それは「英語で話そう」という強い意志が感じられるということだ。「今、僕の英語は上手くない。だって日本人だからね。」という一節に、現地の小学生は大受けしたという。現場で雰囲気を見たわけではないので何ともいえないが、川崎が一生懸命に話す姿勢と、「英語が下手な日本人」というあたりが“一般的通念”として、アメリカの小学生の中で微妙に可笑しいという化学反応を起こさせたと解せるであろうか。いずれにしても、川崎が通訳を介さずに小学生に語り掛けた意味は絶大だと思う。

MLBに所属する日本人選手は、今季14名。アメリカ合衆国以外の“外国人”選手数の上でも4番目に多いという。その多くはチーム内に通訳がおり、首脳陣との大切な会話を始めとして通訳を介した野球生活をしている。中には、「野球に集中するため」という意志を貫徹すべく、まったく英語を話さず、いや話す気もなく通した選手もいる程だ。だが、果たしてそれで、「野球に集中する」ことになるのかどうか甚だ疑問である。とりわけ最近、メジャーに移籍した選手の多くが、苦戦を強いられている。日本での実績に比して苦汁を嘗めるが如き結果に落ち込んでいるのが目につく。即座に言語コミュニケーションの問題のみに起因すると関連付けるのも短絡的ではあると思うが、それにしても“野球ゆえ”にチーム内で壁のないコミュニケーションがとれるかとれないかは、大きな問題なのではないかと思うのである。

川崎宗則は、昨季日本一に輝いたソフトバンクホークスの正遊撃手。いわば、日本一の遊撃手である。だが、尊敬するイチローと同じチームでプレーがしたいという強い願望から、マイナー契約を敢えて了承し渡米した。メジャーでプレーできる保証もなく、もちろん年棒・待遇なども日本にいた方が有利であったはずだ。それでも、スプリングトレーニングから走攻守でバランスよく自分の力をアピールし、メジャー枠を勝ち取った。現状でスタメン遊撃手の位置は与えられていないが、どんな場面でも自分の役割をこなそうと一生懸命な姿が好印象だ。先日は、正捕手の怪我により捕手が手薄になると、監督が器用さを買って“第3の捕手”に指名し、防具をつけてブルペンで捕球練習に取り組んだという。また、サヨナラが期待される好機に代走で3塁ランナーに起用され、右翼手がやや前に進んで捕球した飛球ながらスタートを切り、見事に生還しサヨナラ勝ちに貢献した。その際の、チームメイトとの喜び具合を映像で見たとき、彼が「チームに溶け込んでいる」ということに疑問はなかった。他の日本人野手が“しかめっ面”でプレーしているのとは好対照である。

川﨑宗則は、野球に挑戦し結果を期待され、その上で楽しむというメジャーの“流儀”を心得ている。マイナー契約からゆえに、英語コミュニケーションを含めて「1から挑戦する」野球少年のような、ひたむきな気持ちがある。もちろんファンに対しても、決して鼻高々な顔はしない。声を掛ければ明るく応えてくれる。“用意された定位置”に期待されて座ろうとする他の日本人選手とは明らかに違った“生き方”をしている。

どんな職業に就いていてもそうだと思うが、
積み重ねて来た実績とともに、
純粋な心が埃を被ることがある。

日本一を勝ち得たからこそ、
今一度、埃を払い純粋に1から挑戦する。
そんな気持ちが、人生に必要な時がある。

上手い下手ではない。
英語でコミュニケーションをとろうとする気持ち。
川﨑宗則の生き方に、多くを学ぶのである。

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コメント:
この文章、下記のスポルティバの記事使ってますよね……
http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/mlb/2012/05/12/mlb___split_3/index.php
[2012/05/13 22:15] | taka #iqhSIKS2 | [edit]












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[2012/05/13 10:15]
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