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「春が来た」ワークョップ

2012-04-13
新学期というものは、新たに担当となった〈教室〉に出向き、新たな学生たちと出会う季節である。その最初の期待と堪らない緊張感というものは、ある意味で教壇に立つ者の特権であるかもしれない。その場から、半期ないしは一年間の人間的コミュニケーションが始まるという悦びを、「一対多数」という図式において圧倒的多数の視線を浴びることで味わうことができるからである。

新学期は、「授業ガイダンス」といった内容に必然的になるのだが、果たして実務的な説明ばかりでも無味乾燥であると、やや欲張りな意図が顔を覗かせる。そこで行うのが「春が来た」ワークョップである。誰もが知っているであろう(ただ、最近の小中高生では知らない場合もあるので注意が必要)「春が来た」という唱歌を、「声」を使って「理解」していく活動である。

春が来た
春が来た
どこに来た

山に来た
里に来た
野にも来た

もともと竹内敏晴が、その演劇的ワークショップなどで展開していたものである。その詳細は、『声が生まれる 聞く力・話す力』(中公新書)に詳しい。僕自身の新刊著書『声で思考する国語教育―〈教室〉の音読・朗読実践構想』(ひつじ書房刊)の序章でも紹介しているので参照願いたい。

少々、その趣旨を種明かしすると、「この唱歌の各聯を語っている人は一人か多数か?」といった類の問いを発し、既知の歌詞内容に「解釈」を施し「理解」していくというものである。その過程で、「音読」を導入し、「声」にすることで「解釈」という「思考」が展開することを体感するのである。約10分もあれば実施可能なワークショップで、最後には〈教室〉全体でささやかな「群読」が成立し、最初の授業の内容を印象づける。

特に年齢的な対象を選ばす、小学生から大学生まで様々な〈教室〉で実施可能であるという利便性もある。現状で4月始まりの日本の学校においては、新学期の意味を自ら「声」に出すことで体感できる機会ともなる。春の「待望」と「発見」には、新たな息吹を感じるという、日本的な季節感がそこには埋め込まれている。

今年は、新学期の〈教室〉で桜が咲いている話題もできる東京地方。
各人各様の「春が来た」を心の中に持ちながら、
「どこに来た?」と〈教室〉に集まった仲間と共に「春を探す」。

学校制度上の問題(秋入学への移行)を考える際に、
予想以上に「春=始まり」という日本文化的季節感の壁が高いことを
改めて体感する。

「山」「里」「野」という日本的風景が失われているからこそ
せめて唱歌で伝えたいという思いも込めて、
「春が来た」という素朴なことばの響きを〈教室〉に展開する。
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[2012/04/13 06:16]
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