真山知幸著『君の歳にあの偉人は何を語ったか』(星海社新書)
2012-03-24
自分の“今”を相対化することばが欲しい時がある。どんなに客観的に自己省察しようとも、
哀しいかな人間は独善的に己を見つめてしまう。
特に年齢に関する感覚においては、
その傾向が甚だしいと、かねてから感じていた。
自身が若い時に憧れていた人の年齢になった時に、
果たしてその憧れを自身の成長に加算できたかどうか、
大変疑わしいという感覚に包まれることがある。
タイトルを見て一目瞭然。
著名な偉人が何歳で何を語ったか。
そんな「年齢的な感覚」を知りたいと思う方は多いだろう。
手に取ってまずは、
自分の“今”の年齢における偉人のことばが掲載されている頁を開けてみる。
また過去に自分が人生の分水嶺だと感じている年齢において
偉人のことばに耳を傾ける。
目次からいくつか例をご紹介しよう。
22歳=ダーウィン
「私の第二の人生がこの日に始まるでしょう。
この日は今後の人生の誕生日になるでしょう」
34歳=正岡子規
「悟りとは、いかなる場合でも平気で生きること」
49歳=立川談志
「よく覚えとけ、現実は正解なんだ。
時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。
現実は事実だ。」
67歳=トーマス・エジソン
「自分はまだ67歳でしかない。
明日から早速、ゼロからやり直す覚悟だ。」
88歳=ピカソ
「まだこれから描くべき絵は残っている。」
といった偉人のことばが年齢別に興味深く解説されている。
この日は、著者・真山氏と宵のうちグラスを傾けながら語った。
人物研究家・新進気鋭のライターである真山氏自身のことばからも
また僕自身の“今”が相対化される。
人生においては様々な媒介を通じて、
できるだけ多くの人々のことばに耳を傾けるべきである。
そんな意味で
多くの方々にこの年齢別による
偉人たちのことばをお読みいただきたいと思う。
3月22日新刊
星海社新書13
¥820円
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