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空の向こうに富士山が

2009-12-20
19日(土)冬の匂いというものがある。具体的に何の「芳香」なのか「臭気」なのかは自分でもわからない。ただ、それを確かに感じ始める日があるのだ。この感覚は昔から持っていたが、妻と知り合ったら同じようなことを思っていて、やはり自分だけではないのだと感じて久しい。

 この数日、寒気が日本列島に近付き、日本海側では大雪。冬型の気圧配置になると東京では逆に、澄み切って乾燥した空気になり、「空の向こうに富士山が」綺麗に見える。この一節は、東京近辺の学校に通ったことのある方であれば、校歌の歌詞に必ず似た類があったと思われる表現である。高層建築物が増えて富士山が見える場所も昔に比べれば減少しているはずだが、江戸東京から見える富士山というのは美しく、広大な平野の中にある大都市に住んでいることを実感させる。

 見通しの良い富士山を遥かに見て、人は大いなる希望を抱く。日本一の高みを現実に観ることで、自分の生きる世界でも日本一そして世界へと目を向ける。夢と勇気の象徴という意味もあって、富士山は古来から信仰の対象にもなってきたのであろう。些細な人間世界の粉塵を忘れさせてくれるがごとき、澄み切ったその峰の姿が見えることも、冬の匂いを誘発する要素でもある。一つの歳が終わり、また新たな歳が始まるこの季節に、「空の向こうに富士山が」大いなる希望を抱かせてくれるのだ。

 その綺麗に見える頂で、F1レーサーであった片山右京さんが遭難した。自身は自力で下山して一命を取り留めたが、同行した2人の方が帰らぬ人となった。登山経験が浅い方を同行させて、救えなかったと片山さんは悔恨の情を口にするが、大いなる自然の中で、人間は無力である。遠来からの眺めは綺麗であり希望の象徴であっても、現地に行けば人間を呑み込む脅威となる。小さな存在である自覚を持ち、なおかつ万全の準備と経験を持って、日本一の霊峰に挑むべきなのであろう。

 今日は土曜日にも関わらず、一日中慌ただしく仕事が続いた。しかも新しいコンピューターシステムを導入した影響で、慣れていないせいかシステムの不具合なのか、順調に仕事が進行しないこともしばしばだ。しかし、新たなる希望を見つめて、次なる歳に向けて歩み出した精神は健全だ。松井秀喜ならぬ単年契約という条件も、潔さと緊張感を生み出す。視点をずらし、大いなる希望への道を自らが歩むだけだ。

 仕事から帰宅してジムへ。一昨日鍛えた筋肉に更なる張りを求めて引き締める。鍛えれば鍛えるだけ筋肉は応えてくれる。この身体あってこそ自信も湧いてくるというもの。その後、夕食はいつもの寿司屋へ。店に入ると板さんが開口一番「今日あたり来ると思ったよ」と一言。期待されて意識の中にあるという事実だけでも嬉しい。またまたしばし、松井秀喜は来年活躍できるか否かという野球談議。「活躍してやれば面白いねー」と板さん。ワールドシリーズMVPとの契約を継続しなかったチームとの対戦では、特に快打を連発してほしいものだ。松井が寝ずに考えて結んだというエンゼルスとの単年契約。この選択が、松井という選手をまた一回り大きく成長させるはずだ。同じような境遇を自らに感じつつ、来年は松井とともに、大いなる峰の先にある風景を求め続けようと誓う夜であった。
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