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津田大介著『情報の呼吸法』所感

2012-02-09
 数日前に書いた対談記事などを更新すると、自ずと小欄のアクセス数も増加する。他のメディアによって紹介されていない約200名程度の聴衆が見聞した対談を、現地で書き付けたメモをもとに、自分なりの解釈を加えて文章としてまとめた稀少な「情報」であるからだろう。考えようによっては、その対談を聴いている際の「メモ」そのものをTweetとして発信することもできたはずだ。少なくとも、紀伊國屋ホールという“歴史ある会場”においては、スマートホンの電波状況もかなり良好であったから。対談を聴いて考えたことを、自らが「呼吸」するかのように“息を吐く”ということが、即時性を持った情報として価値を持つことにもなる。

津田大介さんの新刊を読んで、至近な自らの体験を更なる「情報の呼吸法」に進化させる方策を学んだ。以前から津田さんの『Twitter社会論』で読んだ内容に刺激され、そんな「生中継」的な情報発信も意識しながらも、なかなか実行動には及んでいない。それでいて、Twitterという情報ツールをどのように使用したら更に自分にとって有効かということに関して迷いが生じて来ていたのも事実である。こうした煮え切らない使用法に停滞する者に、快活な示唆を与えてくれるのがこの新刊である。

「まえがき」にもあるように、同書は「情報を行動に移す」ことに主眼を置いた立場で書かれている。「状況の変化を恐れず、多くの人と情報を軸につながり、それを活かすことで目の前にある苦しい現状を変えていく。呼吸するようにさまざまな情報を自らの武器として活用できる」という立場は実に明快だ。その上で第1章では、津田さん自らがどのような経緯と立ち位置でソーシャルメディアと向かい合って来たかという体験が、克明にまとめられている。特に、「情報の受発信は連想ゲーム」という項には、ソーシャルメディアを使用する際の発想が凝縮しているように感じられた。彼自身がテレビ・ラジオ・司会などをする際にも同じ捉え方であるという。「連想ゲーム」方式であるからこそ情報が固着せず、多くの人々の意見を引き出し議論し受け取るというスムーズな流通が成立する可能性を見出すことができ、様々な分野での応用が期待できるであろう。

次に、津田さんがどのようにTwitterを活かして「呼吸」をしているかという内容も大変参考になった。Twitterからのニュース入手法やソーシャルメディアの複合的な使用法は、情報が溢れ返る時代の泳ぎ方を語るかのようで、すぐにでも実践したい内容に富んでいる。そうした「呼吸」をしつつも、「人に会う」「本を読む」という「オフラインの情報価値」が上がっているという主張は、相互補完的にネットとリアルが融合する為に、境界を意識しつつ双方の価値を見出すという落ち着きのある方法の提唱となっている。

そして同書の読者として一番「価値ある情報」と思えるのが、やはり第3章の「情報は発信しなければ 得るものはない」という内容であろう。「情報の「発信力」を高めるには」自分なりの基準をもち、面白いと思ったら直感的に発信する。そのように自らが行動することで、得られるものが大きくなるということを、様々な面において語り掛けてくる。単純にフォロー数の問題やソーシャルメディアの特性を活かした使い分けをすべきであるという考え方は、Twitterを使用している僕たちの日常「呼吸」を、形骸化・陳腐化させずに稼働させる発想として、高い価値が得られるは間違いない。

最後に、「ソーシャルキャピタルの時代がやって来る」という第4章の内容にも大変共感できる。現に今までも僕自身がTwitterを駆使して、人と人とのつながりを構築し、それまでに知らなかった世界にも容易に入っていけるようになった体験と、即座に同期した印象だ。「今や人々はローカルの壁を乗り越えて勝手につながっていくことが可能です。いろいろな人とのつながりこそが、自分が困難に陥ったときの解決法になる。これからはソーシャルキャピタル(人間関係資本)の時代になると思います。」こうした人間関係資本を「棚に蓄えておく」ためのツールとして、ソーシャルメディアほど有効な手段はないだろう。その結果、「ローカルコミュニティーの再定義」など、人間関係資本が実際に被災地などでも有効に機能し始めていることに、津田さん自身が貢献し行動している様子には大変触発されるのである。


やるからには自分自身に適合した活力ある使用法を自覚しておきたい。
もし、ソーシャルメディアに対して何らかの迷いがあるなら、ぜひとも一読を。


僕にとっては、小欄の今後も含めて新たな可能性を模索する起点になった。

同じ区の出身者であり、
同じ大学の出身者であり、
同じ立場で大学という場で講じている津田さんに、
更なる親しみを覚える機会でもあった。
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