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落語「明烏」の若旦那

2012-01-28
 金原亭馬治さんによる今年初の「種の会」へ。この日の演目は「明烏」と「長屋の花見」であった。特に最初の「明烏」の一席には力が入っていて、“郭(くるわ)もの”として江戸の風俗を詳細に伝える内容であった。それにしても、2席の落語を聞き終えた後、現代の若者が、この江戸風俗の噺を聞いて、果たしてその内容を想像できるのか否かなどという、ある種の「不安」も抱いた。大学という場の教育に落語をという趣旨から考えて、これは一つの文化伝承機会であるという目的を再認識もした。

しかし、「明烏」に登場する堅物の若旦那はなかなか憎めない性格である。あまりに真面目過ぎる息子を心配した父親が、「観音様の裏手にあるお稲荷さんにお籠りに行くのがいい」と勧めて、町内でも遊び人と評判な2人と共に吉原へと息子を“遊び”に出す。さすがの若旦那も、途中で郭であることに気付いて帰ろうとするが、「(吉原)大門では、入った時と違う人数で出たりすると怪しまれるよ」といって、その律義さに訴えて、郭に留める。ところが、いざ夜になると若旦那についた花魁は絶世の美女。翌朝になると、遊び人の2人はふられてつまらない夜を過ごしたのとは対照的に、若旦那は花魁と布団から出て来ないという顛末。つまらない遊び人たちは、甘納豆をやけ食いして先に帰ろうとすると、若旦那が「来た時の人数で大門を出ないと怪しまれるよ!」と声を掛けるのが下げとなる。

 この噺をやや客観的に眺めてみると、江戸時代吉原での“遊び方入門”のような内容であることがわかる。堅物の初心者が律義な態度で一夜を過ごしたことが、絶世の美女である若き花魁の心を鷲掴みにする。遊び慣れて高を括っていた2人は、結果的につまらない一夜を過ごす結果になる。何事も「初心忘るべからず」という妙な教訓も伴いながら、江戸吉原の世態風俗が余すところなく描かれている。過去においては、名人・八代目桂文楽の十八番である。

 落語で江戸の虚構世界に遊ぶ。
 自らが演じることで、更に体験的な感興を覚える。

 落語はやっぱり面白い!
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コメント:
ご無沙汰してます!
としぼー(湯沢)です。

「明烏」は好きなお題目の一つです。
八代目三笑亭可楽の録音しか聞いたことがないのですが、
面白いですねえ〜。

うぶな若旦那が、花魁と添い遂げるとこまでいってしまう展開は、
流石にそんなこと有り得ないだろ!とツッコミたくもなります(笑)が、
そんな無理矢理な展開だからこそ“夢”があるんですよねえ。

「吉原の大門」と聞くと、この噺を思い出します^^
[2012/01/31 05:15] | としぼー #- | [edit]












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