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成人式に思う

2012-01-10
 今にして自分の成人式を振り返ってみたりする。居住する地方公共団体の式典には参列しなかった。近所の幼なじみが誘いに来たのを、断った記憶がある。それでも参列の如何を問わず、スーツを1着買っていた。結局、そのスーツも後になって予備校模擬試験監督のバイトであるとか、塾講師としてバイトをする際の服装として何より機能した。数日後に、町内会の方を通して記念品が家に届けられた。確か辞書が1冊あった記憶はあるが、その他は記憶を誇る小生にして何も憶えていない。それほど自分の中で形骸化した成人式であったと振り返る。それは既に、大学でのゼミやサークルで居場所が存在し、たぶん意識として18歳で大学に入学した時点から“成人”であるように行動していたからであろう。

なぜ今年は成人式のことを深く振り返るかというと、中学生の時からクラス担任として深く関わった教え子たちが成人式を迎えたからだ。先月来、何度かその幹事役から連絡をいただき、母校を会場に大勢が“帰って”くる企画が立てられていた。既に学校を離れている小生としても、彼女たちの成長を一堂に会して見届けることができる又とない機会である。特に中学時代を居住地域ではなく私立学校で過ごした人々にとって、成人式での感慨は、母校で旧友たちと分かち合うのが最良の場となる。首都圏を中心にして私立学校進学者が多い地域においては、成人式の意義も各個人の生育過程が色濃く反映される結果となっている。何より現在の日本における成人式の意義が、学齢制であることで、“同窓会”としての役割が大きいことをも窺える。何人もの卒業生と話してみると、居住地域の成人式には参列しなかった人も多いという印象であった。

この日に成人を迎えたのは、日本全国で122万人。前年比2万人減で5年間連続減少の過去最少であるという。ちなみに小生の居住する区では1678人が成人を迎えたと区議会議員の方のTweetで知った。小生が学校を会場とした成人式で出会った卒業生は170人前後(卒業生250名のうち)であるから、区単位の10分の1程度(勿論、市区によって人数に差があるのは承知の上で)の人数に会えたことになる。この集合率というのは、女子校であるという特徴も大きく、多くの生徒が晴着やドレスに身を包んで成長した姿を見せてくれたのは何ともいえない感慨があった。

このような自分が関わる小さな集合体での成人式から全国に目を転じてみると、やはり東北各地では東日本大震災により、この日の成人式を迎えられなかった方々が多々あることを思わないではいられない。旧友が遺影を抱いて式に参列したという映像もTV等を通じて報道された。命あって20歳を迎えられるという幸福を、全成人や我々日本人の全てが今一度噛み締めなければならないことであろう。

また、過去10年ぐらいの間に、成人式の荒廃が報道されたことも記憶に新しい。地方公共団体主催のあり方と、参加する成人との感覚があまりにもかけ離れている。それは、成人に問題ありというのみならず、自由競争社会による格差拡大の問題や、地域を含めた教育における生育環境の頽廃などが、大きく関わっているはずである。テーマパークや遊園地を地域内に所有する市区においては、そこを成人式会場に設定するという、“あやす”が如き施策で形式上の距離感を縮める“努力”をしている。だが、果たして成人式の本質を考えたときに、これが最善の策だとは誰も思わないのではないだろうか。こうした“一時凌ぎ”的な趣向を凝らすことでしか、問題解決の方向性を示せないあたりに、日本の抱える大きな問題が露出しているとも言えよう。

歴史を辿れば、現在の成人式形態も戦後に開始されたものだという。たぶんそれ以前には、何らかの意義ある成人としての自覚を喚起するような所業が、社会の中に存在していたはずであろう。(この点には、今回は深く言及しないようにしておく。)世界を見廻して極論として述べるならば、“バンジージャンプ”などという「生命維持への極限の恐怖」を通過儀礼として強制する民族のあり方なども知られている。戦後社会の変容を受けて、今まさに成人式のあり方を社会全体で考え直す時なのかもしれない。

 教え子たちは、母校での成人式を自ら企画・運営し諸方面に連絡・手続をして、見事に自分たちが実行したい成人式を創り上げていた。2次会においても節度ある進行を、そのリーダ役が全員に促し、和やかな談笑の時間が流れた。


成人となる自分たちが、どのような時間を過ごしたいか。
それが成人式の原点であることを、20歳となった教え子たちに学ぶ1日であった。
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