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店先での笑顔と会話

2011-11-29
 日常的にスーパー以外の店で買い物をすることがあるだろうか?大抵の商品はスーパーかコンビニというご時世。陳列された商品を自分勝手に選別し、籠に放り込みレジ精算の列に並び金を払って、自らポリ袋か持参したバックに入れて帰宅する。レジの店員に「袋は要りません」などと言うと「ご協力ありがとうございます」という無機質なマニュアル通りの返答の言葉を受け、「何円お預かりします」「何円のお返しです。ありがとうございました」と型にはまった言葉のやりとりのみに終始する。場合によると“買い物袋不要カード”がレジ前に置いてあって、それを提示すれば「袋は要りません」という言葉も不要になる。実に機械的で型どおりの人間同士のコミュニケーションが剥奪された買い物を繰り返すのが常だ。
 それでも時折、顔を覚えてくれている主任クラスのレジ係の女性などは、(「袋は要りません」という言葉に対して)「いつもありがとうございます」などと発しながら、この「この種類の豆乳は美味しいと評判です。」などとコメントしてくれて、小さなコミュニケーションが成立する。スーパーにも常連客となれる人間的な要素が潜んでいたかと安堵感をもつ瞬間でもある。

それほど買い物は、個人的に閉塞した空間で実行するものになってしまった。


 そんな状態を少しでも回避しようと思い、いくつか地域の商店を積極的に利用している。1軒は酒屋さんでもう1軒は豆腐屋さんである。この日も、夕方になってやや気分が滅入っていたのだが、豆腐屋さんに行っておばちゃんと会話をしているうちに、自然と心が解放されて気分が復活してきた。

 「寒くなってきましたね。」
 「あらっ、そう?お店の中にいるからあまりわからなかったわ。」
 「いや~陽が沈むと一気に寒いですよ」
 「そう、風邪ひかないようにね」
 「僕は、風邪を滅多にひきませんから」
 「あっそう、健康なのね」
 「定期的に運動しているので」
 「それは大事よね。」
 「でも、それ以上に豆腐を定期的に食べているからですよ。この(豆腐を入れてくれた)袋に豆腐は栄養食と書いてあるでしょ」
 「(優しい笑顔で)ああ、そうだわよね~」
 「先日、日常の食事について取材を受けたんです。記事が出たらまたお知らせしますよ」
 「えっ!何に出るの?」
 「NG紙です」
 「あっ、うち読んでるから」
 「まだ先だと思いますが、出たらまた声掛けますね」
 「ありがとう!」


 などと数分の会話が進行し、帰路には笑顔に変わっていることが自覚できた。

 買い物は、人間的なコミュニケーションの場であったが、それは過去のもの。下町育ちの小生には、それが幼少時には当然であった。むしろ母親の店頭でのお喋りが長過ぎて気を揉んだものだ。だがしかし、冒頭に書いたような“個人”消費の時代。アメリカでは、確かレジに店員さえおらず、個人で精算しカードで支払うシステムも導入されつつあったように記憶する。
 “地域社会の活性化”などというお題目がよく聞こえてくるが、この30年間ぐらいで商店と地域住民の関係を尽く社会が制度的に破壊して来たのである。希少な個人商店は経営的に厳しい状況に陥りながらも、なお主義主張を通して生き長らえている状況だ。こうしたコミュニケーションの存在する商店を守るには、自らが足繁く通い、そしてコミュニケーションを厭わないことである。
 ただ小欄でも「豆腐屋のおばちゃん」と表現したように、こうした個人商店は高齢化が進んでいる。今後、その店を存続する後継ぎが難しい状況であることも事実である。地域をどう守るかというより、地域をどのように新しくするかが課題であるようにも思う。

 大切なものを失って来たということに自覚がない社会は、更に恐ろしい。

 わずか2軒であるが、自宅近くの酒屋さんと豆腐屋さんの存在を大切にしたいと改めて思った夕暮れ時であった。
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