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禁じられるという魅力

2011-11-17
 物事は禁じられると、ついついそれを破りたくなるのが人情というものだ。法に触れることを肯定するつもりはないが、何らかの規則があって否定されていると、それが許された先に、未開の魅力が眠っていそうな予感に襲われる。例えば、学校の制服などは「校則」があって、“模範的”な着こなしを推奨され、こうした着崩しはいけないと否定される方法を敢えて学生は選択する。いやむしろ、着崩しが起こるから学校側が、それを否定する“いたちごっこ”であるのかもしれない。ゆえに、“着崩し”こそが“模範的”な領域を支えているといってもよい。

 ボジョレーヌーヴォーが解禁になった。多くの方は今年であれば17日の夜になって賞味するのであろうが、17日は16日深夜に始まる。懇意にするワインバーの店主にお誘いいただき、「カウントダウン開栓!」に立ち会うことにした。深夜0時が近づくにつれて、お店は常連さんで一杯になってきた。更には、ワインのインポーターの方も遠方から東京へ戻ったというハードスケジュールの中で、お店に駈け付け“深夜0時”・17日になる瞬間を待った。

 世界の時差を考えれば、日本がかなり早い開栓となる。太平洋の島のどこかで、先に味わっていそうな島はないか?などと常連さんと談笑しながらも、時計は確実に17日午前0時に近づいて行った。誰かが店主に「フライングしたりしないのですか?」と質問したが、どうやら日本では、概ね解禁日を守っているのが通例であるという。このあたりも、日本人が極めて実直なのか、それともご当地・フランスでは更に厳格なのか判断がつかない。しかし、11時30分を過ぎたあたりから、カウンターに新しいボトルが並び、ラベルを眺めながら待つ間(ま)というのは、実に飲まれるワインにとって至福の時間であるに違いない。禁じられることで、その内実が更に魅力を増してくるように思えた時間であった。そんな中で、iphoneのカウントダウンタイマーは、1秒1秒と確実に午前0時への残り時間を表示していく。

 午前0時、数分前に開栓されたボトルからグラスに注がれていたワインが、店の全員に配布され乾杯!今年はこの瞬間に出逢えた幸せが、十分すぎる程に噛み締められる年である。


 ドメーヌ・ジョエル・ロシェット・ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー キュヴェ・プレステージ 2011


 何とも新鮮な葡萄の味。次第にグラス内で常温になるにつれて甘みが増してくるような変化。この品種は、ヌヴォ―ではあるが、熟成させても十分に賞味できるレアものであるらしく、上品な味わいがある。更に言えば、日本に300ケースほどしか割り当てられていない希少なワインだそうだ。堪能・堪能!


 世間では、廉価なヌヴォ―も多く販売されている。だが真にヌーヴォーを飲む価値とは何かということを実感させられる味に出逢った。禁じられた末にこの味わい。お店で午前0時を待つ時間があってこそ、活き活きとした魅力に出逢う。

 待つということも、否定的なことばかりではない。

 禁じられることがあるから、人生は楽しめるのかもしれない。
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