京都非公開文化財特別公開
2011-11-05
この1週間は、通常では公開していない重要な文化財を期間限定で拝観できる。場所によって公開期間が異なるが、特に3日から6日の4日間しか公開していないのが「冷泉家」である。「冷泉家」は、藤原俊成・定家父子を遠祖とし定家の孫にあたる為相を初代とする「和歌の家」である。約800年間にわたり和歌の宗家として、その伝統を今に伝えている。和歌に関係する多くの典籍は、以前に「王朝の和歌守展」でも公開され、昭和56年に創設された「財団法人冷泉家時雨亭文庫」によって公刊されている。そのような資料展示や書物で内容に触れることはあっても、なかなか「冷泉家」住宅そのものを拝観する機会はなかった。今回は、一番空いているいると目される平日を狙って訪問した。
御所の北側、同志社大学の敷地に接したところに、現存する最古の公家住宅はある。このあたりは公家邸宅が並ぶ公家町であったが、明治以後、多くの公家が東京に移った。しかし「冷泉家」は、江戸時代初めから約400年間この地を動かずに、和歌の伝統を守り続けている。平成6年から足掛け7年間の修理を経て、その邸宅は杮葺き屋根が小さいながら威風を放っている。
竃のある台所から玄関へ回り表門などを内から眺める。更に行幸や勅使を迎える塀重門を通り座敷の見える庭に出た。庭には「左近の梅」と「右近の橘」が植えられていて、御所の左近が「桜」であるのと違いが窺える。その奥が座敷。ここで歌会などが行われる。以前に東京文化会館で冷泉家の歌会作法が公開され観たことがあるが、その時のあり方と座敷の風景を重ねてしばらく想像力を働かせていた。そして庭園を東側に巡ると裏手に「御文庫」がある。ここに国宝・重要文化財などの古典和歌典籍が数多く納められており、「冷泉家」当主しか中に入れず家の信仰の対象となっている。
このような公開場所で、入場受付や説明をするのは京都7大学の歴史研究会などのサークルに所属する大学生だという。各所で次から次からやって来る参観者に、丁寧に繰り返し説明していた。若者の間でも”歴史ブーム”であるというが、どの学生も誠実に一生懸命自分の役割を果たしていた。こうした経験ができるのも京都ならでは。その役回りを学生に依頼している京都古文化保存協会の姿勢にも讃辞を贈りたい。
「冷泉家」を後にしてやはり特別公開の”紫式部邸宅跡”とされる「廬山寺」へ。ここで『源氏物語』が執筆したとされている。
今回の京都訪問の目玉であった期間限定の特別公開。
やはり京都には、時空を超える刺激が満載である。
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