fc2ブログ

朝日に向かって繋ぐ襷―文の京12時間リレー完走―

2011-10-16
 「いったいこんな大会を誰が考え付いたのだろう」などとゴール間近のチーム内で、誰からともなくそんな言葉が発せられた。12時間絶やすことなく襷を繋いで走り抜く耐久レース。ちょうどメンバーの1人の妹さんが、アメリカから初来日しており、途中、応援に駆け付けてくれた。たぶんアメリカ在住の感覚からしたら、こうした「耐え忍ぶ」ことを目標とする市民大会が、どのように心に写ったのかを聞いてみたいほどだなどと話していた。そんな中、降っていた雨もやみ、雲間から朝日が覗くなかで主将のカフェ店長が、最後まで見事な走りでゴールインした。

 93周走破。100チーム中84位。チーム走行距離111.6㎞。そのように明記された完走証が大会本部から手渡された。決して順位が上位である訳でもなかったが、やはり朝日向かって繋ぐ襷の意味を噛み締めるエンディングであった。



 15日18時。100チームの先頭ランナーが文京スポーツセンターの玄関前を、怒涛のようにスタートした。我がチームの先導役は、やはり主将であるカフェ店長。お店のブログでも紹介しているが、実は彼、元箱根駅伝ランナーなのである。あれだけの集団の中でスタートできるのは、たぶん我がチームでは彼をおいて他にはいなかった。

 店長と同じ組で1ローテ目の走りに小生も参加。最初はコースの試走という意味も込めて1周と決めた。他の多くのチームが、未だ元気いっぱいの中で、自ずとレースは高速化していた。こちらも負けじと1周目はできるかぎりのスピードで周回を終えた。6分10秒。まあまあのタイムにまずは満足な出だし。次の周回から2周ずつ。身体が温まり更に好調な走りが持続できて、結局は最初の1時間は2人で8周を達成した。

 その後、次の担当時間まで2時間の休憩。スポーツセンター体育館内の自陣シートの上で、暫く休んだ。今のうちにと持参したおにぎりとバナナで栄養補給。休憩中も時折、ストレッチなどを繰り返したが、やはりこの2時間休憩の過ごし方が、後々大きな影響を与えてきたような印象がある。休憩とはいえ、主催者が招いたアマチュアロックバンドが、絶叫系の曲を演奏している。あまり休んだ気にもならないでいるうちに、次の担当時間になった。

 21:00。今度は小生からの走りで2周ずつ。インターバルの間に休んだ筋肉を元に戻すような意識での1周目が、思いの外きつい。しかし未だ余力があり次第にペースアップ。ほぼ1周7分程度の周回のペースができあがり、このローテも2人で8周を走り切る。

 しかし、次第にコースの勾配が、小生の肉体に微妙な影響を与え始めていた。バトンゾーンをスタートすると、すぐにカーブを伴った下り坂。そこで高速のまま入っていくと、膝に大きな負荷がかかる。それを筋力でカバーしながら、最初の方は問題なく走っていた。更に、コース後半には緩やかながら次第に体力を奪うかのような上り坂が続く。2ローテ目を終えて、右膝外側部に普段では感じない張りが出ていた。

 休憩をする体育館フロアには、地元文京学院大学OBが、ボランティアでスポーツコンディショニングマッサージを行っていた。迷わずに100円の義捐金を出して受診。どうやら右足の股関節が硬直を始めていて、それを腰の筋肉で無理に支えているということらしい。その結果、膝に負担がかかり痛みとなっているという。ストレッチを受けて、やや張りが緩和したようであったが。

深夜1:00。3度目の担当周回となった。この回、最初の2周で更に右膝の痛みが増した。平地なら大丈夫だが上り下りが特に厳しい。2周を終えて大きくペースダウンを余儀なくされる。次は1周のみで無理をせずとは言いながら、とうとう坂では競歩のような状態となった。1周10分に近いタイム。深夜の試練が容赦なく襲い掛かって来た。

 普段、ジムでの筋トレ・有酸素プログラムはこなしていて、体力にはある程度の自信はあったが、やはり長距離を走るとなるとまた違った負荷がかかる。もはや箱根駅伝を観ていて、出身大学の山下りのランナーがどんなにブレーキになっても、責めてはいけないなどということを考えつつ、深夜の時間が過ぎて行った。更に、何とか曇り空が保たれていたのであるが、とうとう雨の追い打ち。最初は小降りであったが、暁方に向かうにつれて雨脚が強まった。

 5:00。最後の1時間は、余力がある者が分担して1周ずつ。何とか膝の状態を回復させて、小生も最後の1周に臨んだ。坂道はもはや最初から歩き、平地も早歩きのような状態。ただ、この最後の1周には大きな意味があると感じた。コース上で次第に無心になり、ただチームのみんなが待つバトンゾーンを目指した。1本の襷を繋ぐために。

 最終ランナーは、もちろんエースで主将の店長。予想以上に時間が残っていたので、3周を走破。93周というチーム記録の「3」は、アンカーの店長が弾き出した。さすが箱根ランナーの片鱗を感じさせる走りである。そして雨上がりの雲間から朝日が顔を出し、感動のゴール。我々の12時間が完結した。



 なぜ人は襷を繋ぐのだろう?自分が自分の力を出して、そして次の仲間に時間を委ねていく。人と人が繋がる。時間が継続していく。苦痛も伴いながら絶え間ない時間の中で襷をリレーする意識の共有。たぶん、人生の中にもこのような図式があるのだろう。




 完走する。ただそれだけでいい。

 そんな思いを伴いながら、早朝、地元の街の風が心地よかった。
関連記事
スポンサーサイト



tag :
コメント:












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック:
トラックバック URL:

http://inspire2011.blog.fc2.com/tb.php/714-cc97259e

<< topページへこのページの先頭へ >>