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時差13時間を超えて

2011-09-04
 今回のアメリカ滞在日程も満了。早朝のボストン、鍵はフロントの所定の場所に置いておくように言われており、ひっそりと宿を出る。前日の夕刻に全ての手続きを終え、親しくなった宿の方とも談笑。ホテルではなく“ゲストハウス”と銘打つこの宿は、料金がリーズナブルであるのもさることながら、まさにボストンの“家”のような存在である。周囲には居住にも適したアパートが林立している。

 ボストンの街をあとにするのは、たまらなく口惜しい。1週間滞在した間の素敵な思い出に後ろ髪惹かれる思いである。空港に向かうタクシーの車窓から見る街の風景が、自ずと旅立ちの寂寥感を掻き立てる。ただしタクシー運転手がイヤホンを使い携帯で仲間と雑談をしながら運転しているのは甚だ心外である。しかも乗り込んで空港へと行先を告げるやいなや「ギャッシュ」などと、指を摺り合せながら言うので”cash”だと理解。現金で支払うのかという確認をしたようだが、もし”card”と返答していたらどういう態度に出たのかと思う。こんな事態も想定して、前日ATMで現金は下しておいたのだが。

 空港には5時AM過ぎには到着。未だ人影は少ないがチェックインカウンターには既に列ができている。最近はマイルの蓄積により、上級の会員資格を得られたので列に並ばずともチェックインできるのはありがたい。セキュリティーもスムーズに通過して、搭乗ゲートまで行くとようやく安堵感が得られる。先日小欄に書いた“フライト臆病者”は、徹底した前倒し時間にここまで到達する。


 スタバのコーヒーにサンドイッチなどを食しながら、フライト時間を余裕で待ち続ける。9月2日早朝にボストンを出て、成田空港到着は9月3日4時PM近くである。単純なフライト時間は、積算で13~14時間であるが、そこに“時差13時間”が加算されて甚だ時間を失うような感覚だ。アメリカに来た時には、むしろ“13時間”後戻りするので、もう一度その日をやり直せるような得をした感覚。「日出る国」の時間に追いつくには、アメリカの“13時間”を置き去りにしなければならない。

 ボストンからシカゴへ。乗継には余裕を見て予約しているので、再び空港での待機。しかも、乗継便の機体到着が遅れているというので、更に待ち時間は延びる。しかし、どうせならシカゴで延泊でもしようかというような心の余裕を持てば、待ち時間など気にならない。毎回成田行きは同じあたりの馴染みのゲートであるので、読書に食事に慣れた感覚で時間を過ごしていく。

 次に航空機の機体に乗り込めば、フライト時間12時間に自然と“13時間”が加算される地に連れて行かれる。現代の文明であっても12時間の飛行が必要であるという距離を体感しながら、彼の地での時間に合わせて行動すると周囲の乗客の動きに逆らうことになる。搭乗して比較的すぐに寝込んで、1回の機内食はそのまま放棄した形となる。むしろ就寝タイムに読書灯をつけて小説に勤しむ時間を過ごす。


 アメリカ東時間より“13時間”を先行して時が流れる。

 「内向き」にならない、なり得ない自分を再認識して、再び日本での時間軌道に乗る。

 こうした「日米往還」に計り知れぬ意義を今後も見出していきたいと決意しつつ、既に次の渡米時期を模索している。
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