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動かぬ大地になぜ驚かぬ

2011-08-25
 誰の言葉かはド忘れしてしまったが、次のような名言を思い出した。

 「大地が動けば地震と驚くが、動かぬ大地になぜ驚かぬ」


 ちょうどアメリカを旅している最中、東海岸のバージニア州を震源とするM5.8クラスの地震があった。小生は南のテキサス州にいたので何ら揺れも感じず、もちろん旅に支障が出る事は微塵もなかった。しかし、TV・新聞・Webの報道を見る限り、東海岸で60数年ぶりの大地の揺れに、ショックが隠せなかったような内容が目に付いた。同時に、日本の方々のTwitter等での反応も、在米中の小生自身よりも大きかったように感じられた。特にこの地震による原発の緊急停止については、日本人においては国内の原発と同様な反応があった。


 東海岸での地震は、次第に西へとその揺れの波紋を広げたようである。もちろん地続きであるから、物理的には揺れは伝播するのであろう。しかし、アメリカでは観測体勢も整っていないと聞くが、各地の震度が報道されるわけでもない。体感した人もいればそうでない人もいるそうだ。あくまで個人レベルで感じるか否かであったようだ。(このあたりもアメリカ的と言えば言える)



 毎回、車でアメリカを周遊して思うが、その広さには驚くばかりだ。通常なら航空機を使うような範囲を多少無理してでも車での移動を選択しているので、尚更その広大さを畏敬する感覚に陥る。今回もカンザス州のどこまでも続く大平原や、穏やかなカントリー的雰囲気のオクラホマ州。灼熱のテキサス州や森の美しいアーカンソー州等を周遊し、洲ごとに地理的条件が目に見えて変化することも実感した。


 この大地に、特に内陸部に生まれ育てば、地震などその存在自体も知り得ない環境なのだと思ってしまう。もちろん洲ごとの特異性が大きいのだから、西海岸の人々は地震に対して免疫力があるということになる。今回のバージニア洲での地震は、まさに地震への免疫力がない人々が居住する土地が振動したということで大きなニュースになったのだろう。

 3月以降、特に東日本に居住していれば、地震を体感することに慣れてしまった感がある。それはそれで恐ろしくもあり、決して”慣れ”たりしたくないものでもある。小生が今回の渡米に際して思っていたことは、「日常的に大地が揺れないところで生活する」ことへの変化を体感することでもあった。日々の生活における”揺れ”から自らの解放という感覚である。


 その北米大陸で地震があるのだから、皮肉なものである。それだけに改めて人間の卑小さと、自然の畏敬を感じざるを得ないのだ。



 長い歴史の中で、大地の揺れを常に感じてきた日本人。
 動かぬ大地が常識と感じてきたアメリカ人。(前述したように地域差はあるが)

 地球の鼓動を感じられる「自然への畏敬」が持てるという特長を、日本人は「文化」として世界にアピールしていいのかもしれない。




 「動かぬ大地になぜ驚かぬ!」

 それはアメリカの社会・経済全体に対する自然からの警鐘であるのかもしれない。

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