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学校で何を学ぶか?―予備校化する大学・高校―

2011-07-04
 朝日新聞と河合塾の共同調査のよって、前年度の大学卒業生のうち約2割の就職先が決まっていないという実態が発表された。それを読んだ際の、率直な感想を次のようにTweetした。

 「大卒2割 進路未定」という朝日新聞1面記事。学部間に格差があり、軒並み文系学部の苦戦が目立つ。芸術・スポーツ系の36.5%を始め、法・政治27.7%文・人文26.2%経済・経営・商25.2%教育23%社会・国際22%となる。文・人文系が他の社会科学系に比べて劣らない結果は意外。


 軒並み理系学部が10%前後であるので、やはり文系の苦戦と言わざるを得ない。特に芸術スポーツ系においては、36.5%という高い数字。これにはやや訳があるようだ。

 スポーツ系学部の情勢に詳しい知人に聞くと、近年のスポーツ系学部の増加傾向で、学生が増えているにも関わらず、就職先の間口が広がったわけではないという事情らしい。運動施設が身近に多数存在する状態はあるが、インストラクターなどの人数が大幅に増員したわけではない。確かに自分が通っているジムでも、支店の営業管理とインストラクター業務を兼ねて行っている人々が大半で、スポーツ指導においてのみの裁量では務まらないような現状が垣間見える。

 それにしても法・経済・経営・商学部などでもこの現状。「文学部はつぶしが効かない」などと揶揄されるように高校で進路指導がなされるのが、明らかな間違いだとわかる。文系なら社会科学系に進学しても、その就職状況は惨憺たるものなのだ。


 さらに記事を読んで気になったのが、大学が「就職支援」と称した「面倒見の良さ」を売りにして学生募集に励んでいることである。履歴書の書き方から面接指導まで、まさに「就職予備校」のような内容を「教授」ならぬ「教習」させるのが、大学の責任と役割だと自認するところが多いと記事にあった。

 また大学進学時点で、AO・推薦入試による学生が激増しているという。一般入試で入学する学生が3割に満たない私大も多々あるという。すると、入学時の学力基準が十分に吟味されないという弊害を生む。大学で学ぶ基礎学力さえ十分でない学生に対して、ほぼ2年間で高校補習のような内容を学習させ、そして3年次から「就職」の技術を与えるだけ。果たして大学教育の本質はどこにあるのだろうかと、たいそう不安になる。

 また、高校での学習も大学入試を意識した内容で「予備校化」する。あるいは大学付属高校等を含めAO・推薦を狙う為に、定期テストでその場しのぎの暗記的学力のみで好成績を上げて、大学の門をくぐる学生も少なくはない。果たして高校での学びの本質はどこにあるのだろうかと、たいそう不安は倍増する。

 次の進路への「予備」校としてしか価値が見出せない学校の存在。それは日本自体の国際競争力を著しく退化させる原因となるであろう。いや既に国際社会において劣勢が伝えられる様々な分野での状況は、日本のこうした教育環境が生みだしているといっても過言ではない。

 就職が厳しい。だから対処療法を行う。しかし、その対処療法は「湿布」のような気休めに過ぎず、一次的な冷却鎮痛効果はあっても、怪我の根治には程遠い。


 今一度、世界的な基準の中で、学力とは何であるか?大学は何を為すべきか?という問いを、我々教育に関わる全ての人間が考えねばならない瀬戸際にあると痛感するのである。


 事が起きてから「想定外」を唱えることが、いかに愚かであるか。3月以降身に染みて感じている今だからこそ。

 「想定外」というのは、決してプロの仕事でない。教育もまた同じ。

 現状は10年前から容易に「想定」できていたのだから。
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