脱藩者はいかに生きるか
2011-07-02
1日付茂木健一郎氏の連続Tweetに次のような内容があった。kenichiromogi Jul 01, 6:53am via Web
東秋(3)秋入学への移行は、また、「履歴書に穴が開く」ことを忌避する日本の奇妙な精神風土にも風穴を開けるだろう。高校卒業から大学入学まで、半年間どこの組織にも「所属」しない、宙ぶらりんの状態になる。そのような状態を経験することが、人生における何よりの恵みになる。
東大が「秋9月入学を検討」という新聞報道を受けての内容だ。世界基準で言えば秋入学が一般的。日本の学校制度がそれに準ずることができないことで、様々な弊害が生じており、世界水準に遅れを取る一因にもなっているという。また、学生自身の意識が、上記Tweetのように「半年間、どこの組織にも「所属」しない、宙ぶらりんの状態になる。」ことで新たな意識改革が期待できるという。まったく同感である。
更に前日(6月30日付)茂木氏の連続Tweet。テーマは「脱藩」
kenichiromogi Jun 30, 8:54am via Web
だぱ(9)組織の中で肩書きに安住している人と話すと、クロック数が遅い。そういうやつらが牛耳る日本の悲劇。無益な椅子取りゲーム。脱藩者のCPUは速い。それは、疾風怒濤の生き方である。そして、他人の懐に飛び込むやわらかさも持つ。諸君、目指すなら、脱藩者だな。
kenichiromogi Jun 30, 8:51am via Web
だぱ(8)脱藩者は、ハーフの間、サッカーのピッチを走り回る選手のように、闊達で、運動量が多くなければならない。脱藩したからといって、うずくまっていてはいけない。動きながら考える。自分自身が補助線になるのだから、点と点の間を走り回らなければならない。
kenichiromogi Jun 30, 8:50am via Web
だぱ(7)残された龍馬の書簡に見られる、ユーモアの精神。魅力的だったのだろう。日本の未来を語った後で、「もっとも、こんなことを言うオレは」と笑う。そんな風に自分の欠点をさらけ出した時に、勝海舟もみなもやられてしまったのではないか。脱藩者は人たらしでなければならない。
日本人の多くのが「履歴に穴が開く」ことを恐れ、裏を返せば組織に依存し安住し、自らの生活が保証されるという安心感を得るために、組織の論理に巻き込まれながら没個我の精神を全うしようとする。これまでの経験でも、そのように考え行動する先輩・後輩・同僚たちが大勢であった。ゆえに、自らの考えを述べ、新規な発想を提示し、自らの足で立とうとすれば、自ずと組織との軋轢が生じる。しかし、そんな「考え」「新発想」は、決して組織にとってマイナスではなく、組織が新時代を生き抜くために必要な論理だと思って提示したものである。あとは、組織がその新発想を検討する柔軟性があるかないかの問題である。
組織に属している以上、「組織の論理で行動せよ」という命令的な発想が、組織を脆弱に導く引き金になる。そしてその発想の押し付けに疑問も持たず、鵜呑みにして新卒から定年まで、掛け替えのない自分の一生を組織の論理で生きる。こうした発想の根源に、日本の教育制度のあり様が潜むのは自明のことだ。
偏差値がより高い大学を目指す為の勉強に「批判・批評」の精神は不要だ。むしろそれを排除して、いかに「従順」に物事を覚え込むことが肝要になる。偏差値が高い大学の「ブランド力」に依存し、新卒一括採用という波に乗り会社に就職し、あとは組織人となって一生を送る。こうした線路に乗せることに保護者も躍起となり、子どもにとって本当に幸せな人生というものを見出そうとしない。それがこの20年~30年の日本の教育が産み出してきた、社会的な人生の図式である。
何の組織にも属さない「脱藩者」の立場で、丸裸の自分に何ができるか?
茂木氏が呟くように「脱藩者のCPUは速い。それは、疾風怒濤の生き方である。そして、他人の懐に飛び込むやわらかさも持つ。」べきなのだろう。
また「脱藩者は、ハーフの間、サッカーのピッチを走り回る選手のように、闊達で、運動量が多くなければならない。脱藩したからといって、うずくまっていてはいけない。動きながら考える。自分自身が補助線になるのだから、点と点の間を走り回らなければならない。」といった条件が求められる。
坂本龍馬の生き様を見れば明らかだが、「脱藩者」は決して楽ではない。「疾風怒濤」のように「走り回ら」ねばならない。
だからこそ価値がある。茂木氏の喩えるようなサッカー選手のプレーを眼前に観たら、多くの日本人は絶賛の声を上げるだろう。それは自分たちが達成できない姿だからである。
組織に属さない立場にある今だからこそ、自らの真の力が試される。
「闊達」で「動きながら考える」。
「脱藩者」が時代を変える!
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