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熱を冷ますやすらぎの居場所

2011-06-05
 仕事に集中している時間というものは、ふと我を忘れていたりする。とりわけ矢継ぎ早に次々と段階を消化しなければならないような場合、時間と質感との闘いともなる。震災の関係で、大学の授業が1カ月遅れで始まった。もちろん、前期のゴール地点は延長されたのだが、その前に学生発表会を設定している。そこをめがけて内容を組み込むと、どうしても2回分の内容を1回に凝縮して実施せねばならない状況になった。さて、その授業はいかに?

何とか消化できるという思いで、パワーポイントなどに工夫を凝らした。内容的には自分の得意分野であったから、どんな変化にも対応できる自信はあった。しかし、自分の得意分野というものは、話題が引き出しに大量貯蔵されているため、あれもこれもと話したくなってきてしまう。その衝動を抑えつつ、なおかつ思い入れを失わず行う授業は、身体感覚的にも精神的にも熱くならざるを得なかった。

結果的に、学生に実習してもらう時間に余裕はなかったが、何とか所定の内容を消化できた。だが問題はその後だった。

ランニングなどをしていて、急に止まると身体に負担がある様に、この日の授業後には、クールダウンの時間が必要だった。暑い気象条件になって来たので、体感的に喉が渇くのは勿論である。すかさず、大学近くの馴染みの店に足を向けた。

ところが、珍しく馴染みの店は平日にシャッターが下りていた。何らかの急な事情があったのだろう。仕方なく方向転換して、別の1軒に足を向けた。そのカウンターの趣が何ともいえないおでんを売りにする店に落ち着いた。

生ビールで暑さを癒し、カウンター越しにおでんの具を選ぶ。次第に暑かった身体が冷めてくるのが自覚できた。するとカウンター越しの戸が開いており、向かいの路地が見える。そこにどこかの家の猫が出てきてまどろんでいる。そんな何気ない光景が、とてつもなく自分を癒した。素朴な居場所で素朴な光景。これぞ小さな幸せというものだ。


カウンターに木の戸。そんな店の構えの趣深さ。熱を冷ますやすらぎの居場所。そこで黙考しつつ、今の自分を捕捉する。

眼の前には店主の良心で、東北の酒が並べられている。やや無愛想な店主が、「辛口ならここいら」と言って福島と茨城の酒を勧めてくれた。

その味にひたりながら精神のクールダウンも完了。


こういう店をいつまでも大切にしたいと思う宵のうち。
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