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自粛破りの花見

2011-04-04
3日(日)東京都知事選を1週間後に控えた日曜日。現都知事は、「花見自粛令」なるものを出したというが、果たしてその真意はいかに?報道によれば、大戦後の「(敗戦を受け入れる)連帯感は美しかった」というのと同等に、今は浮かれている時ではないというのだが・・・。その一方で、「東京が日本を推進するダイナモになるべきだ」との発言や、原発においては推進派であるとか。また、東京都消防庁を福島原発に派遣し注水した際には、その隊員たちの勇敢さを賞讃し、涙を流す会見をした。現役知事の有利さをもって、十分な「自粛」選挙戦を戦っているようにも見える。

 現に例年であれば、提灯などが掲げられる桜の名所においても、花見をする雰囲気はない。この日も、新江戸川公園近辺の神田川沿いを歩いてみたが、人手自体が少なくて桜が“いじけ”気味に、5分咲き程度であったのがむしろ印象的であった。そんな意味で、花見というのは、何も浮かれて騒がなくとも、桜の美しさを賞讃する機会であるはずだという思いを強くした。

 夕方から馴染みの小料理屋主催の花見宴会。例年行なっているそうだが、参加するのは初めてだ。奇しくも、こんな状況の中での初参加というのが、何とも粋であると思い込み、堂々と「自粛令」を破った。結局、事前に散歩がてら花を見て歩く人はいたものの、大半が店の中で、宴会を楽しんだ。10名ほどの常連さんたちが、今この世相と季節を語り合った。時折、店主催のイベントがあるので、顔馴染みの方々も次第に増えてきたが、前回の1月に会った時と、たいそう違った世の中になってしまったと、その影響の大きさを語ることが多かった。

 この小料理屋は、大学周辺の街にあるので、卒業式・入学式の中止や授業開始が1か月遅れたことで、店の営業にも大きな影響が出ている。立地条件というのは地域社会との共生が重要であるが、その最たる例であるようにも思う。やはり、こんな時には常連で店を支えるしかないと思うのも義理人情である。

 酒を酌み交わし、美味しい料理を食べながらの時間は、実に心が和んだ。時折、このように利害関係がない人々と酒を飲むのもいい。花見ならずとも、人々が震災以後の東京近辺での体験を語り、こんなこともあったとか、こんな用心をし続けているとか語り合うのには十分な意味を感じる。酒を飲み人が集うのは、何も「浮かれる」為だけではない。行政の長から「自粛」などと言われるのは、筋違いだという思いを再認識するのだ。

 だいたい、花(桜)はどうして美しく感じるのだろうか?

 どんなに厳寒である冬でも耐え抜き、それでも毎年芽吹いて、華麗に花を咲かせる。そんな花の姿に、四季が逡巡し再生していく構図を見て取り、人の世に喩えて賞讃するからこそ美しく感じるはずである。空虚さから復活した絶頂を待ち望み、散るのを惜しむ心があってこそ、日本人の豊かな感性が養われてきたのだ。そう考えれば、東京での花見は、経済を動かす意味でも、仲間と震災以後を語る意味でも、不可欠な年中行事であると言ってよい。

 どうやら「自粛」と言われたせいか、東京の桜も従順に咲くのを躊躇しているようだ。未だ5分咲き程度。しかし、桜を「再生の象徴」と見るならば、足踏みすることなく開花前線は、北上して行って欲しいと願う。花を見て、豊かな生きる力が湧いてくるという文化を、千年以上の長きに渡り継承してきた国だから。


 「花見自粛令」絶対反対!

 さて来週の東京都知事選挙投票はどうしようか?「花見礼讃」とでも宣言する勇気ある候補者もいないようだし・・・。されど大きな声に屈するのには、多大な抵抗を感じる。
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