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紙の本どこで終わってもいい本ー『おやすみ短歌』(実生社刊)

2023-12-06
良質な睡眠をとるために心掛けること
就寝が苦手な人も多いという中で
『おやすみ短歌ー三人がえらんで書いた安眠へさそってくれる百人一首』(実生社)

毎晩の就寝時には、寝床で必ず短歌を読む習慣がある。その際にどんな歌集をどれほど読むか?は大変に重要な決め事だと思っている。あまりに歌集の世界観に引き込まれて読むのをやめられなくなったり、創作意欲がメラメラと湧いてきて興奮してスマホに短歌の端くれを書き留めるなどむしろ眠気を覚醒させる効果が生じることがあるからだ。かと思えば寝たまま胸元に歌集を開いたまま寝入ってしまい、僕の後に入浴を終えて来た妻に「回収作業」をしてもらうこともある。そんな時に乞い願わくば、就寝さえ留まらせるように心を繫ぎ止める短歌が作れたらと願う。最近では『アボガドの種』(俵万智)や『いま二センチ』(永田紅)などは、瞼を瞑じても安心して響く言葉があり、実に良質な発見がありながら睡眠に誘ってくれるように思っている歌集だ。同時にこのような歌作りを目指したいと思い、明日へ向けて自分を変える睡眠という名の変身に向かうのである。

冒頭に記した『おやすみ短歌』(2023年11月20日刊)を購入した。編著者である「枡野浩一・pha・佐藤文香」のうち佐藤文香さんは大学時代の「万葉集研究会」の先輩の娘で、幼少の頃から「研究会旅行」などで会う機会も多く長い付き合いの人だ。彼女は「あとがき」の冒頭に、小学生の頃に家族で「神戸ルミナリエ」を見に行こうという際に「夜は眠いから行かない」と言ったエピソードが書かれており、実にリアルにそのように発言した彼女の顔が思い浮かんだ。さらに読み進めると自らは「早寝早起き」であるが、「就寝が苦手な人と付き合う」ということが書かれている。その際に「恋人が少しでもよく眠れるように、と試行錯誤した。」とある。「テレビやスマホの光はよくない」ゆえに「紙の本」がよく、続きが気にならず「どこで終わってもいい本」ということで「歌集を選んだ」と記されている。これはまさに、前述した僕の入眠の流儀とまったく同じだと舌を巻いた。(僕自身はすぐに眠れる派であるが)同書はまさにこのような入眠を叶える短歌を集めた企画歌集である。ちなみに佐藤文香さんは俳人であるが、彼女が短歌を選び歌評を書いているのも興味深い。

「最後に見た短歌を苔玉のように顔の上に思い浮かべ、
 目の奥に残った光でいろいろな角度から照らしてみる。
 その光が薄まってゆくのにあわせて、ゆっくりと息を吸い、息を吐く。」(あとがきより)
これぞ短歌の読み方として実に上質なのだと思う。


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