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青島に祈る朝

2023-09-12
「檳榔樹の古樹を想へその葉陰海見て石に似る男をも」(若山牧水『海の聲』)
牧水が大学生の時に帰郷し無医村である都井岬で医療に従事していた父を訪ねて
その途次の船で青島に寄った際に東京の恋人を想い詠んだ歌

特別公開講座の余韻冷めやらず、命日である17日までは若山牧水について小欄でも話題にしていこうと思う。大学あるいは自宅から一番近い牧水歌碑はと考えると、やはり青島の冒頭に記した歌碑が思い出される。東京で熱い恋が燃え始めた頃、日向国に帰省し都井岬に診療のために出向いていた父を訪ね、細島港から船で県南に向かった際に青島に立ち寄った際の歌だ。公開講座では伊藤一彦先生が引いた歌だが、なぜ牧水は青島でこの歌を詠んだのか?それは青島が山幸彦と豊玉姫の縁結びの地であり、そのご利益にもあやかろうとする牧水の想いを読むべきとの指摘があった。現在でもそうであるが青島には不思議な力が宿っているのは、僕も宮崎に来て以来、肌で感じて来たことである。

現在、僕は毎朝の散歩に出ると自宅近くの小高い丘の公園に150段ほどの石段を登り、樹木が開けた位置から青島に祈りを捧げている。山幸彦と豊玉姫に始まり、次に身近で天に召された人たちの顔を思い浮かべ、僕ら家族が安寧でありますようにと祈る。妻との縁も青島に由来しているだろうと思っており、その不思議な島のご利益を実感している一人である。牧水はというと、結果的に掲出歌の恋は苦悩の末に終わるのだが、歌人として名を遺したのは妻・喜志子との縁のお陰である。青島はいつも、その人に最も相応わしい人との出逢いへと最終的に導いてくれるのだろう。人はなぜ祈るのか?僕と妻との縁、それぞれの命へとリレーをしてくれた生命、自分自身の命があることの感謝を毎日欠かさないためであろう。

青島にある幸せの黄色いポストの奥にある歌碑
牧水の祈りは現代にも通じるものだ
不思議な青島の力を信じて今日も祈り続ける。


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