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「生活・文化を志向する」ー短詩系学習の充実

2023-08-12
国語教育全国大会(日本国語教育学会主催)
豊かな言語生活を拓く国語教育の創造
ー「言葉の学び」への自覚が育つ単元学習の開発ー

2日間開催される国語教育全国大会、昨日記したように台風による9日の全便欠航(宮崎空港)で2日目からの参加となった。午前中「校種別分科会(小学校6)」の指定討論者を引き受けていたので、台風に巻き込まれながらも前泊できたのは幸いだった。分科会では短歌・俳句の実践研究発表が一本ずつ、十分な時間の中で発表・討議された。短歌学習では、宮崎県日向市立坪谷小学校の「牧水顕彰活動」を軸に据えた活動を、フィールドワーク調査から修士論文としてまとめた内容であった。さらには現在の勤務先である中学校での実践を加えたもので、いかに日常的に「短歌に親しむ」かが様々な工夫として紹介された。あらためて一般的な小中学校の学習においては「短歌の意味」ばかりに偏り「短歌の音楽」を疎かにしていることが浮き彫りになった。指導者自身が短歌そのものにどう向き合うか?感性と指導との関係は?また新聞コラムのような小さな活動を続けることの大切さなどが、討議を通しての学びであった。

後半の俳句指導の実践発表は、年間を通して季節観に併せて学校行事をテーマとしながら「俳句を小まめに継続して作る」実践であった。「2年間の実践による児童の変容」の中で「使いたい言葉をかっこよく表現できる」という感想も聞かれ、まさに「言葉のインスタ映え」なのだと指導助言で話した。TV番組や若者の短歌ブームなど社会は短詩系を求めている。この流れを「国語学習」に活かさない手はない。もとより「学習」というよりは、日常において「かっこよく言葉を使うという感覚」をもたらすことが大切なのではないか。また学部に入学してくる学生に「短歌づくり」の課題を出すと全体の5%ぐらいの人数が「俳句」を提出してくるエピソードも紹介した。小中学校教員そのものが、いかに短詩系2種類を差別化しているか?という疑問は一般の方々の社会的理解を見渡してもあやしい。「短歌は一首、俳句は一句」という数詞が違うことを含めて、「(歴史的・表現特性において)なぜ短歌と俳句は違うのか?」を教員研修次元で充実させてゆくことが大切だと考えた。短詩系を指導者が「添削」してしまう罪、「歌人はおしゃべり、俳人は寡黙、教師は文句言い」という名言も紹介された。日本の言語文化を社会と一体となり短詩系で創り上げていくような矜持と意欲が必要だろう。

児童の「五・七・五」に心(表現)の「七・七」を教師が付けるなども
「説明のわかりやすい言葉」と「心を揺らす言葉」を多層的に育てる必要がある
お二人の実践発表に日本の教育の未来が見えた。


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