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追悼と手触り感のことなどー第383回心の花宮崎歌会

2023-08-06
野菜の手触り感を比喩として
一つの助詞により表現する感情が反転して
急逝された会員の方を偲びつつ

心の花宮崎歌会定例の歌会が開催された。冒頭に急逝された会員の方を偲ぶ話が、伊藤一彦先生から為された。事務局の調べによると、昨年12月末〆切分は『心の花』23年3月号に掲載されている。今年になって僅かな身体の異常により診察を受けると即入院、その後の闘病の奮闘もむなしく先週に帰らぬ人となった。僕自身も通夜にてご家族と話をさせていただいたが、「短歌が生き甲斐」であったと云う。諸々の賞への応募をされ此の度は最優秀賞を受賞していたが、授賞式に出席できない無念だった。歌会には花を持参し故人の歌を切り貼りで集成した「号外」を配布する「同期入会」の会員の方もいらした。きっと僕たちの心のうちには、故人の短歌が響き続けるだろう。そんな思いを胸に、「いま生きていて詠める1首」こそを大切にしなければならないという歌への向き合い方に襟を正す時間でもあった。

歌会での覚書。互選票も上位で個人的にも気になった歌は、「野菜の手触り感」を比喩とする歌。野菜を切る動作とか洗浄する際の特徴を上手く捉えていた。もしかすると野菜を調理したことがない人は、読みが深まらないかもしれない。そのような意味で日常生活での種類を問わない「経験」が歌作りには必要なのだと思った。反転して日常の家事などの中に貴重な歌材が眠っていることにもなる。また、助詞のあり方を考えさせられる議論もあった。「・・が」なのか「・・と」なのか、歌の中で省略されてしまっている助詞について読者によって補う助詞が異なり、その結果で表現された感情が正反対に解釈される歌だ。形式と韻律の問題と関連し短歌に助詞の問題は永遠の課題であろうが、推敲の段階で自らが思う以上の吟味が必要だと思い直す機会になった。

懇親会はみなさん諸事お忙しいので中止
今月来月は様々な短歌関連行事もある
僕らの生き甲斐として月1回支えられる貴重な集いだ。


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