「寺山修司の作歌法(1)ーコラージュと本歌取りの技法」
2023-08-05
寺山修司没後40年特別企画「笹公人と学ぶ寺山修司の作歌法」
寺山の物真似による短歌朗読も・・・
寺山修司は昭和10年生まれだから、長嶋茂雄さんと同年齢だった。現在87歳だから生きていてもおかしくないが、47歳というあまりの早逝が惜しまれる。今年は没後40年であり、短歌に限らず映画などを含めて再び寺山作品へ注目が集まっている。僕自身も寺山の短歌を読み直し、また講義などではその名言を学生に紹介したりしている。「日本の恋歌ー和歌短歌と歌謡曲」では、特に歌謡曲の歌詞を比較する根拠を寺山の言葉に求めている。そんな折、牧水短歌甲子園を通じて懇意にする笹公人さんが、標記のようなオンライン講座を3回シリーズで開講するというので参加することにした。講座の「概要」には「寺山修司にもっとも資質が近いといわれる歌人」とあって、エンタメと短歌との関連を考える上でも笹さんご自身の作歌にもこれまで注目してきた。また第1回目のタイトル「コラージュと本歌取り」に関しては、今後の中高国語学習への応用を開発してゆきたい内容である。
あらためて、講座冒頭に示された寺山の「スタートは俳句」という言語表現のあり方を考えさせられた。まさに「国語教員」にこの「違い」を深く理解してもらうためには、格好の教材だと思った。笹さんご自身も俳句に学んだ時代があって、その分析はユニークかつ的確だ。寺山の短歌の背景には「俳句の模倣作品」も散見され、あらためて創作とは何か?という命題を突きつけられる。また「三句切れ二部構成」を基本とする寺山の文体は、古典和歌に見られる典型的な「歌の文体」という指摘。寺山の短歌に愛誦性があるのはやはり基本に忠実であったからだ、ということを再考させられる。また「直喩が極端に少ない」という指摘と「言い切りの文体」、そこにシュールで格好よい寺山の秘密があるようにも思った。笹さんは寺山の短歌を朗詠する際に、記念館で販売されているお面をつけて、物真似口調で歌を読み上げた。あらためて短歌の言葉と作者の方言・イントネーションの問題などに興味が湧いた。個人的には「北国の歌謡曲(演歌)」などの映像的1シーンなどとの関連も考えたくなった。
宿題の歌を早速3首作る
牧水短歌甲子園の際にまた笹さんと語ろう
短歌そのものを深く考える金曜の宵のうちであった。
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