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淀みに浮かぶうたかた

2023-06-17
「ゆく川の流れはたえずして、しかももとの水にあらず。
 淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとどまりたるためしなし。
 世の中の人と住処と、またかくのごとし。」(『方丈記』鴨長明・冒頭文より)

「うたかた」とは「泡」のことを指す古語、「水の上に浮いてるあわ」のことから「はかなく消えやすいたとえ」に転じ、副詞として「(あわのはかなく消えるように)少しの間も。」などの用例もある。文学史の講義で『方丈記』を扱い、その冒頭文を学生たちとともに音読し内容について考えた。「川の水上の泡」に対して学生たちの想像が十分に行き届かないと思ったので、「風船」の話題を提供した。風船は膨らませれば膨らませるほど、小さな傷でも破裂し滅びてしまう。「風船」は幼少期に遊ぶことも多く、その破裂に泣いてしまった経験も多いだろう。「人」も「住処(すみか)」も、まさにこのように「儚く無常」なものだと実感を伴わせる必要を感じたゆえだ。

「風船」といえば、僕には忘れられない経験がある。幼少期に近所の友だちたちと「風船」で遊んでいた時のこと、ガキ大将的存在が近くにあった「釘(遊んでいる家が建築会社であった)」で他の子の風船を割ってしまった。「お前もやれよ」と僕も強要され、「悪戯ぐらいする勇気も必要だ」と思った僕は、ある子の風船を釘で刺して割ってしまった。後になって考えるにその子は障がいのある子であり、当然ながら大声を出して泣き叫んだ。それを眼の前にした僕は、耐え切れなくなってやはり大声で泣き叫んでしまった。ガキ大将は「なんでお前が泣くんだよ!」と怒ったが、僕は涙が止まらなかった。その時から僕は、他人が嫌がること・悲しむことを決してしたくないと心に刻んだのだ。「他人の気持ちを自分のように」考えるべきと胸に誓った。それゆえに、家族はもちろん「自分以外」の人の気持ちを、「痛いほど思いやる」習性を持ち得たのだと思う。人の命はそれぞれに「無常」である、それゆえに周囲の人の気持ちになって生きたいと強く思うのである。

腕力も財産も地位も「うたかた」に他ならず
あなたを大切に思うという温情こそが人として大切なこと
ゼミ生たちが一生に一度の公立実習を終えたゆえ慰労会も開催した。


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