人間の都合ー第381回心の花宮崎歌会
2023-05-07
自然の立場を無視し人間の都合で考えていること
「わたし」とは何かを問い続けて
連休中ながら第1土曜日恒例の心の花宮崎歌会が開催された。新年度により会員名簿が配布されたが会員数は58名、その規模は東京歌会に次ぐものといつも注釈がつく。都道府県の人口密度からすると、やはり「短歌県」の面目躍如たる会員数の歌会ということになる。また東京は「首都園」として近県在住の方の参加もあろうが、宮崎歌会は交通手段のせいもあるが基本的に県内在住者であるという意味でやはり活況であると言えるだろう。出詠46首、最高得票7票、以下5票1首・4票3首・3票1首・2票4首・1票11首・可能性無限大25首という得票状況であった。またこの日は関東在住の方が、旅の道すがら歌会に参加。こうした会員間の交流があるのも、宮崎歌会会員としては嬉しい。
出詠歌の詳細を語ることはここでは控えるが、全体を通して「自然」に対して「人間の都合」を批判的に捉えた作品が目を引いた。菌・ウイルスの次元から身近な虫たち・植物たちまであらゆるものが、ぞれぞれの立場でこの世の中を生きている。それを利用したり忌避したり規定したりして、人間は自らのご都合主義で自然を支配しようとしている。その独善で傲慢な姿勢を、三十一文字は具体的な像をもって批判していく。また本来は自然の一部であろう「私」そのもののあり方に眼を向けた歌で得票が多いものも注目された。概してこうした「自然」と「人間」が対立ではなく親和な関係を見出そうとする歌が多いのも、宮崎歌会の特徴であるかもしれない。そこで相対化された「自己」へ眼を向け続ける。首都一局ではない短歌の地方におけるあり方として、宮崎歌会の「役割」というものがあるのかもしれない、などと考えた。
会場は未だ講義教室形式
懇親会はもう少々の辛抱か
またまた来月に向けて歌作りの英気が養われた
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