お湯割りは楽にこころを溶かし合う
2023-04-15
牧水が酒好きだった理由僕が宮崎で覚えた焼酎お湯割り
楽に人と人とがこころを溶かし合うために
若山牧水は「あくがれの歌人」であると、研究第一人者の伊藤一彦は云う。「いま此処」から「離(か)れる」、人が生きている「いまの瞬間」から新たな世界へ前向きに飛躍し離れていく。現状に留まっていては、細胞が新陳代謝を失うように枯れてしまう。この「あくがれ」の精神で牧水は「旅」をし、「恋」の世界に没入し、そして「酒」を愛したということだろう。短歌雑誌の編集などを中心に「人との繋がり」を大切にした牧水。旅に出ても酒席を断ることなく、人々との交流に「あくがれ」た。最期は「肝硬変胃腸炎合併症」と医師の診断書があるが、言い換えれば牧水が身体を賭して人付き合いを重視したと言ってよい。俗に「一生分呑んだ」という言い方があるが、牧水は「一生分の人付き合いをした」ということだろう。
牧水が好きだったのは日本酒、大阪は伊丹の銘酒「白雪」などを特に好んだと歌にある。もちろん僕も母の故郷・新潟の日本酒を始め好きではあるが、「郷に入れば郷に従え」で宮崎に移住してからはもっぱら焼酎を嗜むようになった。それも「お湯割り」というのが基本である。東京では「ロック」か「水割り」を常道とする人が多いが、10年前に宮崎に来た当時、カウンターの隣の爺さんに「にいちゃん焼酎はお湯で呑むとよ」と教わって大ファンになった。親友曰く「お湯割りが楽とよ」という理由だ。元来が20度焼酎(東京などに出回るのは25度)の多い宮崎でお湯割りにすると、アルコールとともに一緒に呑んだ人と「こころを溶かし合う」ような感覚になる。地元大手焼酎メーカーは、そんな趣向のCMも流すが「あたたかい人柄」と「焼酎お湯割り」というのは誠に整合性があるということだ。酒はどうしたって「身体に悪影響」という論文が英国で発表されたと聞くが、人付き合いなき人生を生きてどうしようというのか。
「お湯割りに笑顔溶かせり人付き合いあくがれなくして何のたのしみ」
親友ともゼミ生ともこころを溶かし合う時間を
溶け合うこころにこそ生きる糧がある。
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