夢でなかった飛距離と球速ー米国MLBの意識を変える力
2023-03-27
外野席の看板や最上段への本塁打球速は100マイル(160Km)を超えてゆく
もはやスモールベースボールでない本場を変革させる野球へ
今月は本当に久しぶりに野球狂の魂が燃え盛る時間が続き、未だ尾を曳いている。それは「3度目のWBC優勝」というのみならず、日本における野球のあり方を考えるべき時に来ているからだ。一部で報じられる経済効果や視聴率からみる野球人気という点と裏腹に、少子高齢化を迎える社会において「世界」を目指す野球選手を今後もさらに発展的に輩出できるかという不安を拭い去れるのかは大きな課題だろう。確かに高校野球を中心に顕在していた旧態依然の体質も、かなりメスが入れられて来たようだ。科学的なトレーニングが導入され、指導者の隷属的な強制もなくなり選手自らが考えてできる環境が多くはなった。今回のWBCで活躍した大谷翔平・佐々木朗希・山本由伸らが最初から平然と160Kmを超える球速を投げることは、象徴的な現象であろう。また大谷翔平・村上宗隆などの本塁打の飛距離は、東京ドームの看板直撃やMLB球場の最上殿席に突き刺さるものがあり、かつての日本選手とは破格のパワーを見せつけた。大仰にいえば、十分に「ワールドシリーズ」クラスの選手が多数、具体例を挙げたのみならず日本代表の中に存在することを示している。
僕が小学生の頃、シーズンオフの11月ぐらいに「日米野球」という企画試合があった。大人たちはよく「奴ら(メジャー選手)は観光ついでに試合をしている」というようなことを口走った。そして当時の後楽園球場の照明の看板に打球を当てたとか、球速なども計られなかったが「豪速球」などと報道が囃し立てていた。当時よく語られた「メジャー選手は日本選手相手に本気にはならない」というような言い方が、現在も年代によってWBCなどに対して口走る人がいる。しかし2006年2009年の日本の2連覇、そして今年は米国を決勝で破った力を見せつけたことで、「本気でメジャー選手の(日本野球への)見方や意識を変えている」と言えるではないかと思う。特に今回の大会は、犠牲バントや犠牲フライでの得点に結びつく戦術が採られるケースもほとんどなかった。準決勝のサヨナラ場面において、過去の日本代表なら確実に「4番でもバント」である。事実、ある放映の解説者は「村上に代打でバント」と予想をしていた。だが周知のように栗山監督は「4番のお前に任せた」と言い、前打者の吉田も四球を選んだ後に村上を指差して「お前が決めろ」と言わんばかりであった。結果は周知のようにセンターオーバーフェンス直撃のサヨナラ打であった。それが翌日決勝の同点本塁打にも結びつき、さらには岡本の本塁打も呼び込んだ。戦後の長いプロ野球史において、ようやくメジャーと平然と肩を並べる時が来たのだ。3年後の大会に向け、また選手個々はメジャーの舞台に向けて、その上で日本プロ野球をどうするか?この熱狂を「にわか」で終わらせないために、ファン個々が考えねばならない問題でもある。
イチロー・翔平が変革させたメジャーの意識
あらためて多くのファンが日本プロ野球を観戦してほしい
有言実行、4/8(土)に宮崎で開催されるソフトバンク対西武のチケットを買った。
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