牽引者の為すことーダルビッシュ有投手の存在感 #侍ジャパン
2023-02-27
技術の伝授はもちろん前進するための雰囲気を作る
そして何事も「自ら買って出る」度量
WBC日本代表強化試合対ソフトバンク戦を、TV観戦した。前日に続き勝利したものの課題はやはり多いことを記してきたい。一つに「野手の悪送球」、この日は二死走者三塁から村上が一塁に悪送球をして相手に点数を与えてしまった。さすがに実況アナが「滑るボールか?」という言い方を今回はしなくなったが、前日から「野手の送球が指に掛かっていない」ことを痛感する。06年09年の2回の大会の折は、「WBC使用球の表皮が滑る」ことを盛んに実況アナが叫んだものだ。それはそれとして「プロの適応力」の上でいかがなものか?と思っていたが、今回の2試合連続失点につながる悪送球は野手の適応への疑問を感じさせた。TV解説(TBS系列)の内川さんは、2度のWBC大会経験者だが、「外野手からの送球が抜けないようにゴロになっても低く投げるよう合意があった」ということを明かしていた。未だに世界での使用球が統一されていないことにも大きな問題はあるが、日本野球が未だ「温室野球」な面を露呈する現象だ。
こうした状況を回避するためには、使用球に適応した経験のある者が牽引者となって助言を深める必要があると思う。今回の日本代表チームにとって、その役は明らかにダルビッシュ有投手である。その証に、投手陣で使用球に適応していない選手は殆どいない。敢えていうならば、昨日の試合で制球の定まらなかった松井裕樹投手ぐらいだろうか。むしろ「スライダー」の切れが多くの投手において昨年よりも増した印象がある。これこそはキャンプ中の「ダルビッシュ塾」ともいえる、助言者として投手陣を中心に牽引した成果ではないか。それに比して、野手陣の牽引者が見当たらないのである。06年09年は明らかに、イチローがチームにいたことは監督の存在以上に大きかった。打撃守備のみならずメンタル面での助言も多かったことだろう。確か準決勝のロスに入ってからもイチロー主催の「チーム結束焼肉会」があったと記憶する。09年に若手投手のメンバーであったダルビッシュ有投手は、明らかにその時の経験から今回は自らが牽引役を買って出て投手陣会・野手との交流会など食事機会を設けている。昨日の試合では終盤に周東選手の俊足を武器に決勝点をもぎ取ったが、チーム残塁10を記録し前半の好機で一打が出ないという短期決戦では厳しい状況があることを忘れてはなるまい。宮崎合宿も今日で打ち上げ、さてMLB組の合流があって野手にどのような化学反応が起こるのか?期待したい。
攻めの投手陣が野手を奮起させる図式
TV解説は前述の内川さんと槙原寛己さん
ダルビッシュ有投手が宮崎合宿に志を持って参加してくれたことが日本野球の財産である。
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