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みんな相聞歌を詠もう!ー伝えたい思い #舞いあがれ

2023-02-19
恋の気持ちを相手に訴える短歌
お互いに消息を伝え合う歌で肉親・友人などの間の贈答の場合も
『万葉集』における和歌類別の一首

朝の連続テレビ小説では、主人公の舞ちゃんが歌人で幼馴染の貴司くんと思いを伝え合うことで結ばれるという幸福な場面までが前週に放映された。その過程で貴司くんの短歌に焦点が当てられ、また秋月史子というすこぶる短歌に詳しい恋のライバルが出現するという「物語」として目が離せない展開であった。また放映直後の「あさイチ」に貴司くん役の赤楚衛二さんが出演し、司会の華丸大吉さんが「俵万智さんがTwitterで貴司くん(とリュー北條に捧ぐ・tweetにはこうあり)へ事前に歌を詠んでくれて」と振ると、赤楚さんが「貴司の心ですね」と反応する場面もあった。まさにドラマ(物語)の中に短歌の奥深さが「本歌取り」という手法をまじえて埋め込まれ、その秋月史子と歌集編集者・リュー北條のやり取りから視聴者が理解していくという短歌関係者にとってありがたい展開であった。僕らも「(ドラマで史子が指摘する歌は)本歌取りかどうか?」と先輩の研究者と議論したり、現代短歌における「本歌取り」をどのような精度で評したらよいか?など考えさせられる内容であった。

驚いたのは、僕自身がこの「本歌取り」の件について「史子が本歌取りを指摘した回」である2月16日10時台に「#舞いあがれ」を付けてTweetしたものが、33件リツイート1件の引用、132いいね、エンゲージメント(ユーザーがツイートに反応した回数)666、インプレッション数(ツイートが表示された回数)は何と「15710」にも達したことだ。中には「専門家が議論するほど微妙な線を突いているなら『史子の1ミリ』としてVAR判定でセーフとしましょう」などリプライ(返信)でサッカーになぞらえたものまであった。何より「本歌取り」について、多くの一般の方々が考えてくれたことは和歌短歌研究者としてありがたい限りであった。(「本歌取り」の詳細については2/17付小欄に記載した)視聴者の多くは「何とか舞ちゃんと貴司くんとの恋が実って欲しい」と願って視ていたはずだ。結局は秋月史子が「君が行く」の短歌を「情熱的な恋心を詠んだ歌の本歌取りなんです」と舞ちゃんに伝えることで初めて、「短歌の読者が本歌を知っていて、その情趣を含めて思いを受け取る」ことができ相聞歌として成立したことになる。史子は表面には出ないが歌に詠まれた「貴司の舞に対する恋の情熱的な思い」に圧倒され、「本歌取り」に気づいた者として「恋のオウンゴール」を決める結果となる。たぶん多くの視聴者が、この週のドラマテーマ「伝えたい思い」を持って生きている。

「目を凝らす見えない星を見るように一生かけて君を知りたい」(梅津貴司)
相聞歌は恋人同士に限らない、親子・兄弟・友人など思いを伝えたい人へ
そう!ならばみなさん!ぜひあなたも相聞歌を詠んでみよう!


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