#若山牧水賞・奥田亡羊さん執筆連載「牧水の明るさ」
2023-02-09
「食事を取りながら『おいしい』と口にすると、本当においしく感じることがある。散歩で夕焼けを見たとき『きれいだなあ』と言ってみる。すると、
夕焼けが美しく見えてくるから不思議だ。声には何か特別な力があるらしい。」
(宮崎日日新聞受賞者三連載・奥田亡羊さん「牧水の明るさ・中」より)
非常勤先で試験を実施するため、朝は慌ただしく家を出た。週1日しか赴かないゆえ、試験用紙の印刷も当日の朝になる。印刷室が混まないうちにと思いつつ、早目の「出勤」を心がけた。こんな事情で、朝方にじっくり新聞に目を通すことができないでいた。試験を終えてスマホを確認すると、母からLINEが届いていた。どうやら宮崎日日新聞の何らかの記事に、僕の名前が出ているらしい。それを知らせる文面の結びに餃子に比肩するという意味だろう、「短歌日本一を待っております!」と激励も添えられている。昼休みになって早々に持参していた新聞を開き、可能性のある記事を探した。やはり!それは冒頭に記した奥田亡羊さんの連載だった。「朗詠を通し世界が変化」と題された文面には、「録音が残っていないので牧水の朗詠がどのようなものだったのか、今となっては分からない。だが宮崎大の中村佳文教授が、それを聞いた人たちの証言を収集されている。」とあった。
非常勤先の駐車場の自家用車内にて、早速、奥田さんに感謝のメッセージをお送りした。午後になって奥田さんから早速返信があり、僕が書いた論文・評論などの「研究を宮崎日日新聞の連載に引用させていただきました。」とあった。この5年ほど「牧水短歌の朗誦性」について、『牧水研究』に毎号ごとに書いて積み重ねてきた研究を奥田さんが読み、引用してくれたのは大変にありがたいことであった。実は現在、機も熟したのでこれらの論考をまとめて牧水没後95年となる今夏には出版できるように作業をしている。その先取りとして、奥田さんが牧水の朗詠に注目していただいたのは大きい。短歌の要素として「音楽性や明朗さ」というのが、一般の方々が思う以上に大きなものであることが明らかに示されている。これはやはり奥田さんご自身の作歌態度が「二行書き」などを試みているように、「音楽性」に注視したものであることの証しだろう。奥田さんの文は、次のように結ばれている。
「朗詠を通して(中村注・牧水の)これらの歌が読者の心に浸み、
同時代を生きる若者たちの理想や青春像を形づくっていった。
歌がうたわれる前と後で、世界が変わったはずである。」
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