愛と残虐ーThe LEGEND&BUTTERFLY初日 #レジェバタ
2023-01-28
信長に抱く残虐なイメージ濃姫と対立しながらも愛し続けた物語
権力を握った者の傲慢と孤独と・・・
東映70周年記念作品映画「The LEGEND&BUTTERFLY」が封切りとなり、珍しく初日のレイトショーに行ってみた。市内で夕食を済ませ、映画館の席は事前にWeb予約。最後列が好みなのでその中央で悠々と鑑賞することができた。話題を呼んだ作品の初日ではあるが、「レイトショー」であると混雑もしておらず料金も¥1300とお得だ。妻はかつてよくレイトショーを独りで観に来ていたのだと云う。金曜日の夜などは1週間の「疲れた」で終わってしまいがちであるが、こうした過ごし方は休日に向けて好ましい。封切りしたばかりなので、あまり映画の内容に触れることは控えねばなるまいが、「予告にある範囲」で語れそうなことを語ろう。織田信長に抱く我々のイメージは凝り固まっているようで、実はなかなか見えづらい。これまで大河ドラマで何人もの役者が信長を演じたが、果たして誰が一番腑に落ちるタイプなのだろうと思う。むしろ秀吉(竹中直人)や家康(津川雅彦)は概ね「こうである」というイメージがある。
この映画は、木村拓哉と綾瀬はるかという豪華キャスト。果たしてキムタクがどのような新しい信長像を見せてくれるか楽しみでもあり、綾瀬の毅然と侍立しつつ主張しそうなキャラとの関係性が楽しめる映画である。信長はどうしても残虐なイメージがあるのだが、果たして人間はどれほどまで残虐になれて、どれほどまでに愛を身に受け止められるのか?を考えさせられる。史実からすれば残虐に残虐を重ねた権力の暴走が、やがて家臣から夜襲(本能寺の変)を受けるという悲劇の最期となる。「天下を取る」とはどういうことなのか?信長の言動の多くを秀吉・家康は学んだのだろう。家康がようやく「いくさのない愛に溢れた平穏な時代を築く」ことになる。だがしかし、果たして信長に「愛」は無かったのか?徳川幕府が採った鎖国政策とは真逆の「異国文化好み」の好奇心は、もしかするとその後の日本に大きな進展をもたらせたかもしれない。しかしやはり人を愛することに従順でなければ、一番の「忠臣」に命を取られるという結果となる。「愛憎」というように愛と憎しみは表裏一体であり、現代でも起きている様々な残虐の悲劇はその表われである。こうした映画を契機に、歴史から個々人が多様なことを学ぶべきなのだろう。
「喧嘩するほど仲がいい」
権力者の暴走はいつの時代も己の思うがままを通して急襲される
平和な社会を築くには「愛」が不可欠だと誰もが知っているはずなのであるが・・・
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