「寒いね」と答える人のいるー群読・朗読・音読の使い方
2023-01-26
「『寒いね』と話しかければ『寒いね』と答える人のいるあたたかさ」(俵万智)声で学ぶことで生まれる「あたたかさ」恋の歌を考える「あたたかさ」
そして、群読・朗読(劇)・音読の使い方のことなど
宮崎市最低気温マイナス3度、日中の最高気温5度。さすがに南国宮崎でも厳しい寒さに見舞われた1日。素人の勝手な考えであるが、地球温暖化が進行することでむしろ異常な寒波が冬の北半球を覆っているような印象である。朝からついつい「あたたかさ」を求めてしまう気温であったが、思わず俵万智さんの冒頭に記した歌の奥深さが感じられてくる。仕方ないながらあまりの寒さに「寒い!」と声に出せば、呼応して「寒いね!」と言ってくれる人が傍にいてくれてこそ「あたたかさ」が得られるものだ。この日は寒いながら多くの「声」に触れて「あたたかさ」を得られた。小学生を対象とする模擬授業を行う学生たちの希望に満ちた「声」、「短歌のリズムに気づく」という目標の授業は熱を帯びていた。また「恋歌」ばかりを8首の資料から、1首を選んで「いいね」の要点を「声」で述べる講義では、熱い恋心が学生たちの心の中に踊ったことだろう。いずれにしても短歌は人に「あたたかさ」をもたらせてくれるものだ。
昼食は馴染みのうどん屋さんへ。天ぷらとおにぎりがセットになる「生姜葱うどん」を注文。ふんだんに盛られた生姜が別添えで来るのが嬉しい。もちろん全てをうどんの中に入れて食すと、生姜の暖め効果は抜群。「(あまりに寒いので)朝からお宅のうどんをと思っていました!」と奥様に言うと「温まりましたね!」と嬉しそうな笑顔をくれた。うどん屋さんはありがたき「あたたかさ」を人々に提供している。その後、附属中学校で研究授業。『走れメロス』の群読を実践するというので、これは僕の得意分野と期待して教室へ。小説全体から「問い」を立て、自ら探究し見解をプレゼンしつつ、その根拠となる群読を披露するという授業内容。僕自身は中学校教員の頃から、「朗読劇」という方向性を展開し考察してきたが、この日の授業では「多様な声の使い方」を選択して実践することの大切さを学んだ。「小説」の読みは多様であるべきだが、「声の使い方」も同様である。「音読」で論理を感じさせるように読む、小説場面を動画再生のように挿入する朗読劇として読む、なぜ複数人で声を寄せ合う「群読」をするのか?その実践自体を押し付けず、学習者が自ら考えて選択することが大切であろう。「声」の「あたたかさ」の中で実に学びの多い1日であった。
帰宅して牛しゃぶ鍋
格別なあたたかさだが、再び夜は気温が氷点下まで
「寒い」ことがむしろ「あたたかさ」が貴重であることを自然は教えてくれる。
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