群読フェスティバルーワークショップその1
2023-01-23
「感情」と「動作」「演劇は関係性の芸術」
複層的に関係が連携し人は自らを表現する
前日の公開講座の余韻が冷めやらぬ中、日曜日ながら附属図書館で標記のワークショップが開催された。この事業は「令和4年度ひなたの文化活動推進事業採択」の企画で最終的に2月12日(日)に宮崎大学まちなかキャンパスにおいて「声でつながるフェスティバル」を開催予定となっている。もとより僕の講義で「群読」の〈教室〉での効用を学んだ学生の一人が、学部コースにおいては僕のゼミ生ではないが、自主的にゼミにも参加し学内朗読会などを経験し今回の企画を県に申請して実現したものである。ゼミにおいてもそうだが、学生時代に「お勉強」以外の分野で諸々の経験をすることは大変に貴重である。特に「教育」以外の世界の人々と関わり、社会性を学んでこそ一人前の「教師」になれるものと考えている。こうした意味で4年生で卒論も忙しい中、この企画を進めてきた学生の代表者には今後も大きな期待をもつことができる。
さてこの日のワークショップには、懇意にするアナウンサーで劇団ゼロQ代表の前田晶子さんをお迎えした。語ること、そして身体表現をすること、その魅力を自ら経験的に助言いただける機会として貴重だ。前田さんは「教えるのではなく一緒に楽しく気づきましょう」といった趣旨のことを冒頭挨拶で語り、参加者・スタッフとの親密さも抜群にワークショップが進められた。「感情カード」「動作カード」の2枚を引き、二人の会話を表現する。決して「感情」と「動作」が一致するとは限らず、微妙な表現になることもしばしば。その複層的な機微によって、人は他社に複雑な気持ちを伝えている。同時に「感情」も一つの正解があるわけではなく、「辛いけど楽しい」とか「悲しいながらの喜び」など反転したり交錯したりするものと気づく。最後に「草野心平」の「おれも眠ろう」を三人一組で群読し、グループごとの多彩な読みに実に多くの発見がある機会となった。参加者とともに4時間があっという間に過ぎ去り、次回のワークショップに向けて声の連携の輪ができた。
次回2月5日(日)宮崎大学附属図書館にて
学生さんをはじめ一般参加者らの出逢いの場としても
やはり「群読は人をつなぐ」朗読を考え始めて20年目の境地である。
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