辱(はじ)を雪(すす)ぎ続けて功を成すー歌壇賞受賞のことばから
2023-01-21
敗けを見返そうと奮起する思い強く思い続ければ必ず新しい朝が来る
学生とともに歩んで来た6年間に感謝
既に小欄でもくり返し記してきたが、顧問を務める宮崎大学短歌会所属の久永草太さんが、歌人の登竜門ともいえる「歌壇賞」を受賞した。その秀作が掲載された『歌壇2月号』が手元に届いた。版元書店さんのお心遣いで代金の振込票に「おめでとうございます!」という付箋が貼られており、なぜ僕が顧問だとわかったのかと不思議に思っていた。「受賞作30首」に続け「受賞のことば」を読むと、その疑問が一気に解けた。受賞者の久永さんが「今日まで僕に筆を置かせなかった多くのみなさま」として、中学校から大学まで短歌に関係した「先生」の名を挙げて感謝の意を書き記していたのだ。これを読むと、思わず熱いものが心の底から込み上げ感涙してしまった。僕は本日が誕生日だが、何よりのプレゼントをいただいた気分になった。同時に人生において「続ける」ことの尊さを深く感じ入った。
彼が入学してきた頃、宮大短歌会は創成期で決して彼にとって有益と言えるものではなかったかもしれない。しかし、僕のゼミ生たちのやる気と彼がいう「好き勝手やらしてもらい」という「創り出す」気持ちが、むしろ彼を育む結果にもなったのだろう。もちろん顧問としてどれほどの「指導」ができたのかと思うが、自らも必ず詠草を出してどんなに忙しくとも歌会に出席する姿勢を貫いて来た。むしろ彼の詠歌や歌評に学ぶことも多く、次第に自らの歌表現も充実して来たように思う。その彼の「続ける」原点は、高校3年生の「牧水短歌甲子園決勝で敗れたこと」だと記されている。まさにゼミ生たちを伴いその舞台を初めて観戦に行った際のことで、まだ縁もなかった久永さんの悔しさの充満した表情を僕は今でも忘れない。「雪辱をバネに続けることで功を成す」それは振り返れば、僕自身の生き方でもある。私立中学校受験に敗れたが、熱烈志望大学に合格したこと。「教授になりたい」と言って笑われたが、現職教員を続けながら博士号を取得し国立大学に就職できたこと。その延長に、親しい学生の成長した栄誉が待っていたこと。彼の受賞は、顧問としての僕にもさらに大きな力を与えてくれた。これからも、まだまだ「続ける」人生を存分に生きてゆきたいと決意するのだ。
「挑戦」するとは「今を続ける」こと
学生から多くを学ぶという教師冥利
くり返そう「辱を雪ぎ続けて功を成す」のである。
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