テーマ詠「サンタ」ー宮崎大学短歌会12月歌会
2022-12-20
「サンタっているんでしょうか?」幼き日の幻と愛と現実と
いつしか「煙突」などは描かれなくなったのか?
宮崎大学短歌会12月例会、今月は諸々と忙しい者も多いということで歌会は1回のみの開催。テーマ詠は「サンタ」であった。敢えて「クリスマス」ではなく「サンタ」に焦点化されることで、現代の学生たちの「サンタ観」が表現され興味深い歌が並んだ。出詠10首、参加8名、卒会生が遠方から出詠やコメントも寄せてくれたのもありがたかった。素材の多くは幼少の頃から「サンタクロースをいかに信じていたか?」に取材したものが多く、歌会の席上でも「何歳まで信じていたか?」という問いが投げ掛けられたりもした。また「お父さん」がサンタに扮したり、中にはファーストフードの看板となる創業者の像がサンタに扮することを洒落を込めて詠む歌もあった。また「サンタ」を描くことで「クリスマスイブ」の光景が浮かぶ歌も多く、少なくとも77年間は「平和」であるこの国の「クリスマス」のあり方が表現された気もする。
「サンタをいつまで信じていたか?」という問いから、現代の世代間が浮き彫りになった面もある。Web環境が幼少の頃から使用できる現在、あらゆる情報がWeb上にあることで早期に「現実」を知ってしまう可能性も否めない。僕は敢えて昨年のイブに刊行した著書にも書いた「詩と愛とロマンス」こそが「サンタ」への思いとして大切なのではという発言もした。僕の世代であると明らかに「サンタ」は、絵本や紙芝居から感じ取る「愛とロマンス」であった。幼稚園の際に「マッチ売りの少女」をはじめ、紙芝居から得られた「愛の物語」があったからこそ温かく生きて来られたようにも思う。一方で著書でテーマとした「日本にとってクリスマスとは何か?」という命題も大きく背負って近現代154年間が過ぎた。出詠歌の中には「商業主義」を批評的に捉えたものもあり、このテーマ詠の本質をあらためて考えさせられた。学生たちは今週末、どんな「サンタ」に出逢うのだろう?「詩と愛とロマンス」を念頭に、短歌人らしい過ごし方を祈る。
まさに「世界の子どもたちに」
平和にサンタが訪れますように
世界を「詩と愛とロマンス」で包み込むことを諦めない。
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