ミリの可能性を考える
2022-12-03
サッカーW杯「スペイン対日本」決勝点前のライン上
ミリの可能性をどう考えるのか・・・
サッカーW杯「スペイン対日本」決勝点となったゴールが話題になっている。ラインを割りそうなボールを三苫さんがセンタリングし、幼馴染の田中碧さんがゴールに押し込んだあのシーンだ。TV映像やWeb記事に新聞写真でも、ほとんど「ラインを割っている」ように見える。この1点で敗戦となったスペインのメディアなどでは、反対に相手チームがこのゴールで決められたらと考えると容易に想像できるが、大きな物議を醸しているようである。しかし「VAR」判定によってゴールが認められ、当該システムへの信頼度の高いスペイン代表の監督などは抗議することもなかったようだ。昨今、諸々のスポーツで先端技術を駆使した判定法が導入されている。正直なところ、野球などでは「正確過ぎ」とさえ思えることが多々あり、審判の存在そのものへの疑義さえも感じていた。だが、あくまで人間の五感は「思い込み」に左右されてしまうことも多く、迫真の技術が展開する競技においては、「ミリ単位」の精度と妥当性に委ねるのも、むしろロマンと醍醐味があることを知った今回のゴールであった。
Web記事等の聞き齧りであるが、「VAR」システムとは競技場全方位からの映像とともに、ボール内に「センサーチップ」が埋め込まれているのだと云う。事実上、今回の日本の勝利によってドイツ代表は決勝トーナメントに進出できなくなったのであるが、皮肉にもドイツで創業した「キネクソン社」という会社が製造したチップであるらしい。その「センサーチップ」の働きは一般人では想像できないような精度であるらしく、まさに「ミリ単位」でボールが「ライン上の空間」に存在したかどうかを計測できるのだと云う。スペインリーグなどでは既に汎用されているシステムらしく、この精度にはどう足掻いても逆らうことはできそうにない。もとより、自らがアウトだと思い込んで諦めることなく、人間の知覚では捉えらえない可能性に賭けてセンタリングを上げに行った三苫さんの「超高度なプレー」を賞讃すべきが、世界をボールひとつで公平に平和にできるサッカーの醍醐味ではないのか。それを「奇跡」と呼ぶのは簡単だが、そうではなく電子の精度においても証明されるアスリートの「超絶技」なのだと考えたい。サッカーという素朴な競技であるからこそ、その精度は問われるのであろう。今大会は女性審判員も積極的に導入され、サッカーによる世界の平等や公正がもたらされる可能性を存分に感じられる大会だ。実は日本が世界に誇れるのは、こうした「ミリ単位」の所業ではなかったのか?
2大会連続決勝トーナメント進出
アジアのチームで初の快挙である
自分たちができることを可能性を信じてやる、それができない人があまりにも多いのだが。
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