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物語をえがく表現力〜声と表情と動作と

2022-11-30
桑田佳祐さんの歌詞物語をえがく力
ゼミプロジェクト『注文の多い料理店』学生たちの声と表情
本番に向けての演出あれこれ

今月は桑田佳祐さんのライブツアー開幕の仙台に赴いたことで始まったが、長いような短いような一ヶ月で晦日を迎えるに至った。桑田さんは仙台→福岡→名古屋と巡り、ちょうど先週末がライブツアーの中休み。そんなスケジュールに合わせてか、「NHK MUSIC LIVE クローズアップ佳祐ー桑子じゃないよ桑田だよ」が24日に放映された。当日は忙しく見逃し配信で視聴したが、あらためて桑田さんの歌唱力ならぬ「表現力」の豊かさに感服した。よく「ひとり紅白歌合戦」で美空ひばりの楽曲も唄っていたが、正直なところ「美空ひばり並み」な表現力を感じるのだ。「歌が上手い」歌い手はたくさんいる、だが真に「伝わる表現」ができるミュージシャンは限られるのではないか?美空ひばりとの共通点として、「ややしゃがれ声」な要素も大きいように思う。その「引っ掛かり」がむしろ人間的な歌詞の「物語」を起動させてくれて、聴く者は感動に至るのである。言葉・リズムという根本をはじめとして、表現力には多様な要素があることを再認識する。

かたやゼミ学生を中心に行ってきた文理融合「朗読・群読」プロジェクトの研究授業が、いよいよ本日となった。工学部院生が制作してきた「プロジェクションマッピング」が映し出す舞台における「群読」によって、どれほど物語世界に入り込んだ表現ができるのだろうか? 作品は『注文の多い料理店』、「耳の文学」とも批評される宮澤賢治の世界観をどう再現するかが焦点だ。この日のゼミでは、前日にして群読の最終チェックが行いたいという学生らの希望する展開とした。オノマトペをいかに遊ぶか?登場する「二人の紳士たち」と「山猫」の声をいかに交錯させ、言語表現の複層性を表現するか?「山猫」の部下たちの声はどの程度の恐怖感と悪どさが必要か?遠くから「二人の紳士たち」を捜索に来る声の遠近感をどうするか?など、僕が聴いて演出上の工夫が加えられるところを指摘して、前日ながら最後の最後まで詰める稽古を実施した。次第に学生たちの表現力が高まるのが感じられ、紙面ばかりではなく仮想ながら現実の「物語舞台」で身体的に演じることで、文学作品を立体的に楽しく主体的に読む活動であることが確認できた。「学校」の授業を通じて、「もっと多くの読書がしたい」と思う人々は残念ながら多くはいない。図式的・構造的な読みと登場人物の理論的な「気持ち」だけで「理解した」という観念的な面が、今も拭えない「授業の限界」を超える挑戦ともいえるのである。

さて本日は附属小学校で共同研究授業実践へ
学生たちのチームティーチングで実施するのも初めて
生きるための心の声が相手に伝えられる表現力を身につけてもらいたい。


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