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生き生かされているー人生を支える短歌

2022-11-22
題詠「寒」ゆえに思い浮かべること
「大寒」まではまだあるがその朝に産んでくれた母
子を思う心に親を思う心でお返ししている

人は誰しも産まれた時から「独り」である。人生というのは、とてつもない「孤独」に放り出されるとも言い換えることができる。そんな趣旨のことを昨年末に出版した自著に記した。ゆえに人生には「待つこと」も重要だと。だからこそである、親子の愛情に発し恋人や妻との愛情が無くして、人は独りでは生きてゆけないのも確かである。『万葉集』の時代から短歌に「恋」が描かれ続けてきた理由はそれで、「恋」という範囲は恋人に留まらず親子・兄弟に及ぶ。しかも「愛情」が大切だと詠うわけではなく、途切れたり失いそうになる葛藤における悲痛さに悶え苦しむ心を詠うのである。人は何事も失いかけてこそ、現状が幸せであることを知る。自分の日常あらゆる行動は妻に大きな影響を与え、妻に支えられていると同時に妻と相互にあらゆる状態を背負い背負われているものだ。親もまた同じ、本人たちが希望して宮崎に移住してきて安心はあるのだが、その健康状態や日常生活での心配事を背負っているのも確かである。

この日は、宮崎大学短歌会歌会が予定されていた。題詠「寒」、思い浮かんだのは「大寒」つまり一年で一番寒い日に僕を産んでくれた母のこと。その日のたぶん最低気温であろう早朝に僕は産んでもらい、「独り」で生きる人生が始まった。だが育つ過程での多くの母の愛情を考えるに、どんなに恩返ししても足りないぐらいだと今にして思う。短歌は「独り」の人生で他の人々との繋がりを確かめるための大きな力を持っている。そんな思いで歌を詠み、学生の担当に送っておいた。夕刻になって早めの夕餉と思いきや、母からの連絡で「父の体調が悪い」と云う。掛かり付け医の附属病院の先生も親切に電話で状況に対応してくれたが、他の病院を含めて診療時間は終わってしまっている。こんな時はまさしく「掛かり付け医」と良好な関係を結ぶことが大切だと痛感する。親族に限らず人はこうして「生かされている」のであると。という事態で短歌会の歌会には出席できなくなった。それでも通信で投票をし、投票結果は学生から連絡があった。いささかの救いであったのは、僕を産んでくれた母を詠んだ歌が投票で一位になっていたこと。歌だけは休まず必ず参加する、「三十一文字」とはそれほどに価値あるものだと実感できた。

自分の身体は自分だけのものではない
親族の愛情がわかればまずは自分を健康に保つこと
短歌で母への感謝を詠うこと、やはり歌は人生を支えてくれる。


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