「三十一文字にかけた夏〜熱闘!短歌甲子園〜」宮崎先行放送
2022-10-22
今夏の熱き牧水短歌甲子園のドキュメンタリー11月3日(木・祝)19:45〜20:29 NHK Eテレ
地元の利として宮崎で昨夜は先行放送
今夏で第11回を迎える「牧水短歌甲子園」、その模様をNHKがドキュメンタリーを制作。全国本放送を前に宮崎だけ昨夜、先行放送された。全国に先駆けて観られる優越感とともに随所に知っている人々が映り、地域の誇りと恵みのある番組に感銘を受けた。注意してみれば、番組内で2度ほど客席で拍手する僕自身の映像も僅かに映り、あの熱い闘いを観戦した日々が蘇った。確かに会場では常に取材班のカメラが回り、舞台裏や楽屋の光景から参加した選手たちの熱い志が浮き彫りにされた内容に仕上がっていた。特に短歌という個別に多様な思いを表現する文芸ゆえに、概説的な番組構成では描けない側面があまりにも多い。取材は出場の準備をする段階の高校や家庭にまで及び、助言をする先生とのやりとりとか母親との対話を描いた点で、ドキュメンタリーとしても実に秀逸であったといってよいだろう。そして場面場面の間に織り込まれる俵万智さんのコメントが、「短歌とは心を伝える文芸」「日常を素材にするが日常とは違う言葉」であることを、鮮明にわかりやすい言葉にしてくれていた。
今夏で11回目ということは、僕が宮崎に移住する1年前から始まったことになる。確か第4回大会ぐらいには単独で訪れて観戦し、その後はゼミ生を伴って団体で観戦に出向いた。そんな折しも、審査員の一人である大口玲子さんから、「優勝校と大学生のエキジビジョン対戦」を街中で開催したいという話をいただいた。当時のゼミ4年生・3年生から3人を強引にチームに仕立てて、当該年の夏の優勝校・宮崎商業高校と闘った。結果は大学生の惨敗、だがただでは負けて帰らない。この3名のメンバーを起点に、「宮崎大学短歌会」が結成された。翌春、優勝校に本戦決勝で負け悔しい思いをした宮崎西高校メンバーの一人が、大学に入学してきてくれた。これにより「宮大短歌会」は一気に活性化し、それから6年の月日を数える。奇しくも若い人の間での短歌ブームの時代となり、SNSを介しての短歌の世界には明るい未来が見える。だがどうあっても、SNSだけではダメなのだ。日本でこれほど野球が盛んで高校生からプロを輩出するのは、甲子園大会があるからだ。WBCでの日本の2連覇という勝利のように、短歌が世界の詩歌として羽ばたくために「牧水短歌甲子園」は今後も回を重ねていくのである。
「牧水先生」も天から喜んで観戦しているだろう
若者たちの喜びも怒りも哀しみも楽しみも「短歌」に込めて投げ合う
「ことば」で豊かで平和な世界を目指す「短歌県みやざき」の大きな自慢の大会なのである。
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