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初笑いに福来たる

2011-01-08
7日(金)七草粥をもって松の内も明ける。世間ではたいていこの日までがお正月、しかし昨今はお正月といっても、店等の営業や人々の過ごし方もだいぶ様変わりしてきたようである。元日から営業の店舗は多いし、昭和の時代のように食材を買い置きするような各家庭の状況も、一変した。されど変わらない物もある。伝統芸能のお正月だ。

 今月20日ぐらいまで、いや2月3月まで「お正月」だと言い続けるのが落語であるいう。この日は、新宿末廣亭に寿新春初席を見に出掛けた。父はゴルフに行ってしまったというので、普段なかなか外出しない母を誘った。東京にある寄席の中から末廣亭を選んだのは、やはり主任が歌丸師匠であり、笑点メンバーから春風亭昇太と三遊亭小遊三が出演するからである。

 新春初席は、顔見世興行なので出演者が多く、前座の持ち時間は1分とか。全員が持ち時間の少ない中を、会場を福来たる初笑いに導いた伝統芸の妙技に酔い痴れた。伝統とはいっても、昇太は相変わらず自身の「結婚ネタ」であったりするわけだが、TVの影響は大きいもので、笑点なら毎週見ている母も、昇太の生の語りに引き込まれていた。また「おうちの晩ご飯」などという番組のレポーター桂米助も登場。勿論、TV出演機会のないような咄家さんの語りも個性的で、笑いを連発する3時間ほどであった。

 やはりお目当ては歌丸師匠の高座ということになるのだが、枕で「会場における携帯電話の使用や食べ物ばかり食べている者への注意」を促しつつ、自らの咄家生活が60周年になることにも触れ、中学卒業を待てずにこの道に入門したことを披露。学歴ではなく、伝統芸の道に育てられた人間であるという、自らの生き様を語った。そんな中で、「学校の勉強は社会に出て何の役に立つのか?」という疑問などを差し挟む。どことなく現代日本社会への警鐘が含まれているように受け止めてしまう。細身の身体にして、芯の強い主張が師匠の口から語られている気がした。

 「笑い」は身体の免疫力を高める、ということは医師が科学的に証明したこと。一昔前までは、咄家が高座で「寄席の効用」として冗談半分に語っていたが、それが今や「事実」であることが確認されてきたわけだ。となると冗談か非現実的に言っている落語には、もしや現実味のある教訓が、随所に散りばめられているのかもしれない。

 この日、ある咄家が言っていたが、「どうして正月になると初詣と寄席は混むのでしょう?もっと普段から来てください!」と。確かにそうだ、昨年も寄席は初席のみで、初詣に行くお寺には2回のみ。普段から気持ちを引き締めたり、「笑い」の効用を味わい、心に余裕を持った生活をするのも粋なはずである。江戸庶民の生活というのは、そんなところがあったはずだ。伝統芸能が伝承し残してくれているものから、江戸時代の利点などを再認識して、社会の変転で失ったものを見直しみるものよい。近代化が全てに於いて「良識」に向かった訳ではないことを、我々は自覚しておくべきであろう。

 寿初席。「笑う門には福来たる」と思いつつ、明るい未来へ望みを繋ぐ1日。

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