学校図書館司書とメディア創作型学習
2022-08-19
学校図書館司書講習の4日間が始まる第1日目「第三世代型学習観とは」
「選べるメディア創作型学習」を目指す講義と演習
今年は、例年この時季に設定される「教員免許状更新講習」が廃止となって初めての夏。だが、数年に1度は担当が巡る「学校図書館司書講習」における「学習指導と学校図書館」4日間が始まった。時代とともに「学校図書館」の役割も変わりつつある。公共図書館が既にそうであるが、「資料を揃えて貸し出す」機能のみでは成り立たないと考えるべきだろう。同時に「新しい時代の学習観(小欄2022/08/08記事)」を踏まえた場として展開することが必要である。この「第三世代型」ともいえる学習観として、ここ数年で僕自身が研究学会に提案してきたのが「メディア創作型課題学習」である。「短歌・俳句・詩・小説・物語」などの文芸創作を目指しつつ、それらをラジオドラマやリーディング劇に仕立てて表現したり、CMやSNS表現に展開したりする方法である。文芸には「鑑賞・批評」がつきものだが、学習において「鑑賞文」などを求めると形式的で当事者意識のないものになりがちである。そこで「メディア表現」をすることで、原作の読みがさらに深まるという方法である。
この日は午前中に「第三世代型学習観」や「メディア創作型」の意義を講義した。午後はこちらが提示した短歌から「好きな歌を選び」、受講者各自が「好きな方法を選び(誰とどんなメディア創作を作るか)」、さらには「好きな場所を選ぶ」ことによる演習活動を展開した。90分間という限られた時間で、この講習内で出逢った仲間と何をどこまで作れるか?「教師」が注意しなければならないのは、「学習者にやらせ」はするが「自らはしない」ということだ。文芸創作などに対しては特にこの傾向が顕著である。その上で「創作の指導はどうしたらよいか?」などという質問を受けることが多い。旧態依然の指導観であると、「添削」をすることが「指導」だと思い込んでいる向きも多い。だが「添削」というのは、本当に学び手の力を伸ばすことにならない。創作対象に対して当事者として何が足りないか?何がよいか?に気づく対話としての機会を持つべきだろう。さてこの日の受講者のみなさんはいかなるメディア創作を編み出したか?寸劇あり歌物語あり、さらにはユニークなドラマやスマホで録音したラジオドラマまであった。発表会の光景を観るに、参加者が生き生きと相互の作品に向かい「探求と創造」を体験することができた。
スマホやICTの活用は「メディア創作型」と相性が良い
「学校図書館」が「楽しく好きな」場所となるために
新たな時代の新たな「学校図書館司書」を本県では生み出したい。
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