文学は面白い!に火をつける授業
2022-07-30
各自の好奇心あるテーマ探し「文学史」は暗記ではなく活かす
それぞれの学生らとのスピーチに光が
前期講義最終日、金曜日は年度輪番担当の「大学教育入門セミナー」講義が朝一番からある。附属図書館のワークショップコートを利用し、移動式机椅子の効果を最大限に発揮しての展開だった。「テーマ発見」→「序文」→「本を探す(参考文献)」→「本の紹介文」→「考察1」→「考察2」→「一文一義」→「論点整理」→「根拠を示す」→「参考文献の示し方」→「題をつける」概ねこのような過程を経て「学術的文章(レポート)」が書けるようになるのが大きな目標の講義だ。最終回のこの日は、究極の要約である「題」を発表し各自1分30秒程度で、自らのレポート内容を紹介するスピーチを実施。「文学」「歴史」「文化」を「宮崎」という視点から見つめた内容の多様なテーマが並び、大変に興味深かった。学生のスピーチからは「自らが選んだテーマを面白く」語っているという印象があり、学びの原点は「面白い(好奇心)」であることをあらためて考えさせられた。小中高の学習指導要領にも「探究」が大きな方向性として示される中、教員になる学生に「探究心」がなくてどうしようか、ということであろう。教師は自らが教える内容を「面白く楽しい」と感じることが瑣末な技術よりも何より大切だと思われる。
午後一番の3コマ目講義は「国文学史Ⅰ」、これもまた旧態依然の学修観だと「知識の暗記」たる科目に思われがちである。だが現代は「検索」すればいつでもどこでも一定の知識は確認できる時代、「暗記」ではなく「主体的な活用」を旨として内容を構成すべきと考えている。こちらの講義でもこの日は「音読&紹介スピーチ」、これまで14回の講義で扱った「上代・中古・中世・近世」における作品の中から、各自が最も「面白い」と思ったものの一部を「音読」し内容を紹介するというもの。学生に任せていたにもかかわらず、4時代の配分も適切で(上代・近世は少なかったがいないというわけではなく)学生たちの文学への思いを垣間見るようであった。「国語」の授業の中では、どうしても「文学作品」を「面白い・楽しい」と思える機会があまりにも少ない。「学力」を考慮しての授業づくりに教師がこだわるからだろうが、むしろそれが逆作用で学力の伸長も削ぐ結果となる。なぜなら「文学を主体的・探究的に楽しむ」意欲を、喪失させてしまうからである。「国語教師」を養成するにあたり、まず肝心なのは「文学好き」にすることだと、あらためて実感した学生たちのスピーチであった。
15回を対面講義でやり抜いた
マスクをしていてもやはり〈教室〉で出逢える豊かさ
新たな時代の「国語」へ忌憚のない突破が望まれる。
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