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箱根駅伝経験者は語る

2011-01-06
5日(水)午前中から昼過ぎにかけて仕事。時間枠の中で有効かつシンプルに顧客への説明。何事も冗長になっては価値が半減する。時間内に収まらないとか、延長せねばならないというのは、内容かプレゼン力に問題があるのだ。CMを見ればわかるが、たった15秒とか30秒の中で、いかに商品を印象づけるかが勝負。そこに冗長さのかけらもない。例えばプレゼン力では定評のあるApple社のCMはよくできている。殆どその商品を日常の中でどう使うかという一点に集中し、素朴にそのあり様のみを見せる。その素朴さこそプレゼンの有効性に繋がるように思う。あとは消費者が受け止めて自分が利用するときの夢を妄想すればいいだけだ。

 午後になって遅めの昼食は、馴染みのカフェへ。新年は5日から営業と聞いていたので早速足を運んだ。どうやら昼時は苦しいほどたくさんお客さんが訪れたらしく、店主と奥さんが皿洗いに追われながらも、一息ついた状況であった。カウンターの定席に着くと早速、箱根駅伝の話題。母校が優勝した小生に対して、「おめでとうございます」と声を掛けてくれた。年末に当人が教えてくれたのだが、このカフェの店主、大学時代は駅伝選手で、箱根の4区を走った経験があるというのだ。口数の少ない冷静な面持ちの店主に、いくつか駅伝の話題を振ると、素人では見えない視点で駅伝を語ってくれた。

 今や各大学が、駅伝の為に、そこで勝つことのみに焦点を合わせて練習に執心しているという。まさに箱根駅伝偏重主義なのだと教わった。それでも、予選会から参加するシード権のない大学は、ユニバーシアードなど他の陸上大会における持ち点を加算して、総合的な順位で決定されるようになり、一発勝負の予選会ではなく、陸上競技全体の底上げを意図した制度に変更されてきたというのだ。一部には、日本の男子長距離選手が世界的舞台での活躍が遠のいている原因に、箱根を経験することで、長距離選手としての成長が妨げられているという批判も雑誌などで語られていたことも話題として出してみた。

 店主が学生時代の、約15年前には未だ大学駅伝も「牧歌的な雰囲気」があったと振り返っていた。TV放送局が力を尽くして「箱根」を「劇場」のように仕立て上げる。勿論、その放送局に関連する新聞社前(今は元新聞社前だが)が、箱根のスタートとゴールであることは周知のことだ。選手がどんなに迫真に競技に取り組んでも、あまり脚光を浴びないマイナーな競技も多々ある。それからすれば、正月に大学の名前を前面に押し出し、選手が一躍スターのようになれる駅伝は、恵まれた花形競技と言えるであろう。ただ、大学スポーツという原点を見失ってはならないはずだ。各大学が広告塔のように「駅伝」を「利用」するような発想は避けるべきではないかとも思う。今年は惜しくも2位となった東洋大学などは、ここ数年の志願者が大幅に増えている。勿論、大学内部の改革やキャンパス再編などの努力に依存する要因も大きいはずだ。だが、どれだけ莫大な予算を新聞や電車内広告に費やすよりも、「山の神」が力走する正月の映像による恩恵は、その何百倍か大きいようにも感じる。学会で東洋大学を訪ねたときに見たが、正門を入るとスロープの左手に、「駅伝優勝」を讃える詩を刻んだ記念碑が建立されていた。

 店主との諸々の語りの中で、箱根駅伝について考えさせられた。もっとも正月に見たTV番組といえば、「箱根駅伝」と「イチローの対談」のみであった。他はあまりにも低俗で品性を欠くという先入観があり、とうとうチャンネルを合わせることはなかった。それほど「箱根」は日本の正月に不可欠な風物詩になっているのであるが。

 実体験をした人物から聞く話の価値は尊大だ。実物を見ることと同時に、自らが体験できないことであるならば、実体験者の話を存分に聞くべきと感じさせる、カフェ店主の話であった。「駅伝選手」から「会社勤務」を経て「カフェ開業」、この店主における人生の襷リレーは、順調に進んでいるようである。
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