考え方を溶かすための語り合い
2022-07-28
Web情報は自ずと小さな穴に入るように偏って固まった考え方を話すことで溶かしゆくこと
新型コロナも然り社会を取り巻く様々なことも
「行動制限のない・・・」という言い方が、TVなどのメディアを中心に喧伝されてきた。同じ表現に向き合う人々の解釈における、負の意味での多様性を感じる事例である。概ね僕などの解釈であると、政府や地方自治体が飲食店を中心とする営業時間の短縮やアルコールの販売規制などの制限をかけることはしない。また「県外移動自粛」などの協力も求めることはしていない。という意味で「・・・GW」「・・・夏休み」の前につけ枕詞のように喧伝されたわけである。だがこれは決して「安全宣言」ではなく、旅行割引再開などを目論み「社会経済を回す」という政府の思惑や多くの人々の願望から発せられた表現である。注意すべきは「制限のない」ということイコール、「コロナに感染しない」ということではないこと。誰しも「3年ぶり」は楽しみたい、だが「行動制限のない」ながら「感染対策は変わらず徹底する」ということが前提であっただろう。言語表現の多様性は担保されるべきものであるが、多様さの中での「ひとり歩き」や「思い込み」については慎重に考えねばならないことを学ぶのである。
母が役所で必要書類を取得する必要があり、午後は休暇を取って車で伴った。馴染みになったその窓口に来ると、母父が宮崎移住により転居届を提出した際のことを思い出す。先日も牧水賞授賞式で挨拶をする際に、伊藤一彦先生が河野知事に向けて「先生は宮崎の人口を増やすことに貢献した」という趣旨の紹介をいただいた。県をあげて歓迎されているようで、誠に光栄なことである。母の書類取得も順調に済んだ昼下がり、せっかくなのでゆったり話ができるような場所がないかとスマホで探した。ちょっとした裏道に感じのよい家庭的なカフェがあるのを発見。行ってみると予想通り、しゃれたインテリアで手作り感ある軽食を出す店であった。座席は今もアクリルボードを挟んで向かい合う感染対策が施され、天井が高く広めの店内であるゆえに他の客との距離も十分だ。この夏に計画していた「親戚会」を断念したことの正否とか、今後の社会のあり方など、お互いに多くの話題を話すことができた。誰しもがそうであるが、スマホは多種多様な情報が得られると思いがちだが、自分が検索する穴の中にどんどん嵌りゆくごとく偏っていくことを知るべきだろう。また昨今は、TVの情報も偏りや規制がありやと疑わしいことが少なくない。もしや「行動規制のない・・・」の解釈の偏向が、この感染大爆発を生み出したのだとすれば、情報の扱い方に僕らはもっと慎重にならねばなるまい。
話をすれば思い込みが溶かされていく
この困難な時代への向き合い方
まずは身近な家族と十分に話をすることだ
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