つづき続いて14年ー今年も新鮮に卒業生は集う
2022-07-17
卒論担当教授の急逝代講のご依頼を受けて出逢った学生たち
卒業して14年目に今年もまた集う
僕の大学教員としての初めての経験、それはあまりにも突然に訪れた。新年度を迎えて間もない頃、夜になって大学院の指導教授から電話があった。ご自身の学部担当科目の代講をお願いできないか、という内容であった。指導教授は病いが発覚し治療のために、数ヶ月の入院をせねばならないと聞かされた。前期のうちには退院できそうなので、まずは前期講義をお願いしたいということ。担当を依頼いただいた2科目のうち1科目は学部3年生の演習、もう1科目は「特殊演習」と名付けられた4年生の「卒論指導」であった。指導教授を慕って当該ゼミを選択していた学生たち、急に経験も浅い僕などが担当して誠に気の毒なことになったという思いも持った。僕自身も博士学位請求を控えており、指導教授の入院に少なからず影響を受けた。だがその際に僕が行動したのは、学部4年生の卒論テーマに関する参考文献を読み漁ることだった。GW前に多くの参考文献を買ったり借りたりし、必死な思いで学部4年生の思いに応えようと思った。3ヶ月が経過し指導教授は退院どころか、急逝され帰らぬ人となってしまった。
指導教授に前期の指導内容を引き継ぐために計画していた夏合宿、その場でさらに学部4年生のメンバーの結束は固まった。もとより仲のよい仲間意識の強い人たちで、お互いに妥協なき議論ができる雰囲気を作っているメンバーであった。忌憚なく意見を言い合う、日本人の学生はそこに到るまでの指導こそが大変である。しかしこのメンバーには、指導教授を慕うがゆえに「学生こそが主体的に議論する。(指導者はそれを見守り適切なところで支援する)」という方針が浸透していたように思われた。後期も引き続き「卒論指導」が継続し、そして12月末の〆切となった。その後は2月に「源氏物語名所めぐり」というゼミ卒業旅行が企画され、僕自身も歓迎されて同行させてもらった。そして彼らは無事に卒業式を迎えた。初めての卒論指導であったにも関わらず、彼らは「先生のおかげで卒業できた」と今も口々に言ってくれる。指導教授の命日に近いこの時期に、今年で14年目となるが必ず参集し宴を開いている。この3年はオンライン飲み会、今年も対面の可能性を模索したが、結果的にオンラインが妥当な状況となっている。今もメンバーたちの忌憚ない会話には、僕自身が学ばせてもらうことが多い。昨晩も18時開宴で最終は23時半まで、妥協なき語り合いが実に楽しい時間であった。
来年は卒業15周年となる
あらためて「20周年京都旅行企画」などの話題も
僕を大学教員として導いてくれた大切な卒業生たちである。
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