風に吹かれてー運命と時宜のことなど
2022-07-11
「答えは風のなか」という網目のうちに「運命に導かれる」など本当にあるのだろうか?
人と出逢う、そこに生まれる自分にない新たな反応で生きる
ボブ・デュラン「Blowin’ in the Wind(邦題:風に吹かれて)」は、ここのところ何かと心の中に流れる曲だ。そのサビの部分に響く「答えは友よ 風のなか 答えは 風のなか」(和訳)、結論を言うわけではなく投げ出しているところがたまらない。ある意味で、若山牧水「白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」の結句にも通じるものがある。「平和」を声高に叫ぶだけなら、誰でもできる。何にも依存せず、葛藤にもがき苦しみ、だがひたむきに信念を貫こうとする。「風のなか 染まずただよふ」まさに柔和な姿勢こそが真に「強い」ということだろう。「風に吹かれ」るならば、知ることに勇気がいる自らの弱点もわかる。「染まずただよふ」ならば、自分の足で立って歩み卑劣な行為にも歪まずにあり続けられる。「白鳥は」の歌には以前から普遍性があると思い、卒業生などにこの境地を心に刻むように伝えてきた。社会に出て「染まずただよふ」のは、勇気のいることだ。だからこそ自ら立つ足を意識せよ、「空の青海のあをにも」と単純な二極化に「答え」を出すのではなく視野を広げるべきだ。此の度、ある人の生き様からあらためて、こんなことを学んだ。
東京の親友夫妻が、この夏に宮崎を訪れることになっている。ちょうど5月に研究学会で上京した折に席をともにし、「今年の8月あたりはどうだろう?」と話したのが契機となった。直後に航空会社のツアーを検索すると、ちょうど「タイムセール」を実施していた。東京ー宮崎往復航空券と2泊分の宿が、かなりお得な価格になっていた。早速、親友に連絡し「お得なタイムセールが今週中だ」ということを伝えた。親友は、即座に予約を確定し購入したと連絡があった。最近になって同等の条件でツアー検索をすると、何と値段が2.5倍ぐらいになっていた。単純に現状ではタイムセール時点の2人分の料金よりも、1人分が上回るほど高額になっている。あらためて親友と話すと、「まさにあの時に僕らの運命はあった」のだと共感し合った。20歳頃からの遥か長い付き合い、かの親友との宿縁と時宜についてはこれまで何度も強い運命を感じてきた。あまり意図せずまさに僕らは「答えは友よ 風のなか」そのものなのだった。いやむしろ「染まずただよふ」ごとき間柄を貫いてきたからこそ、お互いに強い宿縁に恵まれているのだろう。8月の日々が、今から楽しみでたまらない。
「運命」とはなんなのだろうか?
見えていそうで誰しもが見えないものを言葉にするのが短歌だ
いつも「答えは 風のなか」なのである。
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