テーマ詠「七夕」ー宮崎大学短歌会2022年7月歌会その1
2022-07-06
星に願いをこの行事へのわたしたちの向き合い方
夜空に輝く星たちのうた
九州地方に台風が上陸するという予報もあり、当初から予定されていたこの日の歌会例会は久しぶりにオンライン開催となった。4月より「対面歌会」を再開し新入会員も増え、附属図書館の定まった部屋の利用が定着してきた。だが臨機応変なオンライン開催は、こうした荒れた天候などへの対応にも適している。結果的に台風の影響はほとんどなく、夕刻には陽射しも覗かれる状況であった。だが各自の家でリラックスしたり、授業が寸前まである学生は図書館の片隅など(最近は話せるスペースを十分に確保してある)で柔軟に参加できるのもよい。附属図書館内は蔵書保護のためペットボトルなど「蓋付き容器の飲料」しか許可されていない。オンライン歌会ならば、休憩時間に軽食やお菓子(以前に学部演習室で開催の際はよく用意されていた)などで空腹を補いながらの参加も可能だ。「対面」になっても「ハイブリッド」としてオンライン参加も可能にしているが、今後も柔軟な開催方法が期待される。さて、手元に詠草がないので記憶に頼るしかないが、出詠12首、参加10名、テーマ詠「七夕」の歌に対して様々な議論が展開した。
出詠歌の総体を通して「この国における七夕という年中行事とは何か?」を考えさせられた。神社で「絵馬」に願うこと、クリスマスにサンタに期待すること、などと相対的に考え「七夕」の願いは空想的・観念的である。ある意味で「サンタ」からは実利を得られるが、「七夕」の願いが実現するのは自らの努力次第というところもある。寺社での祈りともまた違い、どこかロマンを孕んだ側面もあるだろう。『万葉集』にも「七夕(しちせき)」の歌は見え、中国詩文の影響も指摘されており、古代人の星へのロマンを掻き立て次第に日本的な受容を果たしてきた。3月3日・5月5日に続き「節句」としてこの文化をどのように継承していくか?歴史的な由来からしても星に思いを馳せながら「歌を詠む」行為というのは、的を射た七夕の祈りといえるだろう。世界平和が脅かされる情勢で、果たして「七夕」に祈るとは何か?「願い」とは「欲望」でもあり、「織姫・牽牛」への祈りとして平和は重たすぎるのであろうか?詠草の歌を読んで、個々に様々な「祈り」と向き合い方があることを知った。広い宇宙で、もしかしたらこの「地球」を星として眺めている何かがいるかもしれない。この「地球」が滅ばぬように、多くの星たちを眺め相対的に自らの命を考えるべきだろう。
歌を遺して星になった短歌の仲間へ
歌をよむといういうことは「祈る」ことでもある
「歌ひとつ覚えるたびに星ひとつ熟れて灯れるわが空をもつ」(寺山修司『血と麦』より)
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