詩歌を身体と声で考えてゆくー「七夕朗読会」準備中
2022-07-01
7/7の朗読会へ向けてゼミ生たちが「板の間」で準備を
机上でなく身体で考えてゆく詩歌
この2年間、すっかり「声を出すこと」が犠牲になって来た。カラオケもスポーツ観戦も音楽ライブも「飛沫対策」として「声」が禁じられた。カラオケやライブハウスは特に、「換気も悪い」ということで疎まれた。また「黙食」などという言葉が造られ、学校給食や飲食店で励行されるなどということも目立った。だが、音楽に声を出すことこそ、人間が精神を解放される大きな効果もある。スポーツも声を出して応援してこそ、試合の流れに同期して観戦できるというもの。もとより日本で食事の際は「おしゃべり」はしないという社会的慣習が強かったので、あまり抵抗なく「黙食」を励行した。だが食事こそ家族や友人・知人と「しゃべってつながる」重要な時間であるのは欧米では常識だ。この声を出さないことで高齢者をはじめ多くの人たちが、精神的な落ち込みを余儀なくされたと言えるだろう。政(まつりごと)はこうした慢性的な疾患を取り沙汰しようともしないが、全国津々浦々、「声を出せない」人々は大変に苦しんでいるのではないか?元々が「声を上げない」日本人が、さらに「声を出せない」2年間を経験して苦悩しているといってよいかもしれない。
4月から大学では対面授業が貫かれ、行動規制も大幅に緩和されて来た。ここに来て全国的に再び感染者が増加傾向にあるが、規制が強化される気配はない。コロナ関連は既にトップニュースではなく、むしろ暑さと電力需給と物価高の話題に翻弄されている。さらに選挙前だということで、報道にも一定のバイアスが掛かっていることも頭におくべきだろう。音楽もスポーツも「声」とともにある「日常」が、戻りつつあるように思う。このような流れに企画した附属図書館創発活動としての「七夕朗読会」、学生たちが「声によって素敵な詩歌(文学)を共有して欲しい」と星に願う企画だ。この日のゼミ時間は、「演目」を発案し合い順番を決めた。詩歌と絵本・教科教材などの群読を中心に10本の作品が提案された。附属図書館の「板の間」という空間で、実に場所の特性を活かした準備が進んだ。「声を発する」学生たちのマスク上の眼は実に生き生きとしている。非常勤講師時代にこの時期、盛んに前期末の発表会へ向けて学生たちと作品を作っていたことも思い出させてくれた。教員になるのなら「机上」の学びだけでは物足りない、身体を作品に同期させ、その言葉の奥行きや繊細さを体感する必要があるだろう。次週、七夕に祈りを込めて開催する。
7月7日(木)18:00〜19:00
宮崎大学附属図書館1階ワークショップコート
「創発七夕朗読会」乞うご期待!!!
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