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もの言わぬ日本人にこそ短歌を

2022-06-29
ポーランドの大学准教授が講義参観
「牧水と恋ー宮崎に生きて引き継がれるもの」
短歌こそ日本人のために!

今年度「地域デザイン概論」という科目の1回のみの担当依頼があり、この日が講義日であった。宮崎の良さを知り宮崎をデザインし活性化した地域とすることを意図した学生たちの、全学共通科目である。地域資源創生学部・工学部の学生さんなど16名が受講していた。もちろん僕の講義題は冒頭に記したように「牧水と恋」、牧水が故郷としての宮崎をどう表現しどう思っていたか?そして若かりし頃の恋に身悶えたことでどのように人間的に成長を遂げたか?を短歌の表現とともに考えた。どうやらこの講義では学内の多様な分野の先生方が毎回講義をしているようで、人材育成事業に関連した社会的・科学的な分野の内容も多いようだ。そこに趣の違う「短歌」があることは「宮崎の地域デザイン」として意義あることだろう。「短歌県日本一」は、決して掛け声のみにあらず。牧水の歌はまず再開発も進む「青島」の歌碑の歌よりスタート、受講する学生らと同じ大学3年生頃からの激しい恋に落ちた「小枝子」のことも紹介しつつ、「接吻(キス)」の歌や教科書掲載「白鳥は・・・」の歌にも恋の背景があることを述べた。また祖父・父が医師であったのを継がずに「文学の道」を志した牧水の「意志をまぐるな」と貫く姿勢を短歌とともに紹介した。

この日は冒頭に記したように、宮崎に調査研究で訪れていたポーランドの大学准教授の先生が参観をご希望し教室に見えた。現在ポーランドはウクライナの隣国として避難民の受け入れなどが一番多く、欧州でもNATO側の拠点として諸々の局面に立たされている国である。日本語も堪能で長く日本に関連したことも研究していらっしゃるようだ。講義中に先生ご自身からも披露されたが、ポーランドには短歌や俳句を愛好する人々も少なくないと聞く。ということもあってか、先生は大変に興味深く僕の講義を聴講し感想も述べてくれた。特に感じ入ったのは、次のような趣旨のことをおっしゃったことだ。「日本人は自分の意見を言わない。だからこそ短歌という形で自分の気持ちを表現すればいい」ということだった。欧州の人からすると、今もなお「日本人は自分の意見を言わない」ように映るらしい。意志表示をしないことは、選挙の投票率にも社会的な運動の少なさにも象徴的だ。欧米ではウクライナ侵攻への反対集会とか物価高へのデモなどが、躊躇なく一般市民の手で行われている報道を目にする。こんな「表現しない日本人」が1300年も守り抜いている表現、それこそが短歌なのである。

「歌」は「訴え」という語源説を紹介
国際交流の視点の大切さをあらためて実感
世界を視野に宮崎で短歌に向き合う。


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