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若者へのレッテル貼りに御用心

2022-06-19
「4割がデート経験なし」という記事の過剰報道
いつの時代も「若者は・・・」と言い放ち社会構造の変革なし
「新人類」「ゆとり世代」「さとり世代」等々

先週の新聞各紙やTV番組などで「20代独身男性の4割がデート経験なし」という記事が話題になり、TwitterなどのSNSでトレンド入りしたと云う。かくいう僕自身も新聞を保管し、早速に担当科目の『源氏物語』を扱っている講義で大学2年生の学生らに記事の数字を紹介した。講義では平安朝の「王権」にまつわる恋愛模様について必然的に色濃く扱うことになり、人間の性愛などについても深く考えている内容だ。社会制度の大きく違う1000年前との比較に、もちろん我々は大きな違和感を抱きつつ、『源氏』の奥行きから見える人間の性(さが)を見極め日本文化のエッセンスと物語文学の読み方を学んでいる。果たして学生らは、どんな感想を抱いたであろうか?その後、DIAMOND online 鎌田和歌氏の「20代男性『4割がデート経験なし』だけ切り取られた調査の大事な内容」や窪田順生氏の「『若者の恋愛離れ』というインチキ話を政府・マスコミが蒸し返し続けるワケ」を見つけて読んだ。特に窪田氏の記事には、1987年当時の調査でも現状と似たような結果が出ており、50年以上に及び社会構造を改革してこなかった失政を隠すための『情報操作』の匂いがする、といった趣旨が記されている。例えば、この2年ほどのコロナ禍においてもTV映像には「渋谷のスクランブル交差点」が映し出され、「特に20代の若者の行動が・・・」などと喧伝され続けてきた。「感染拡大」が「行動自粛をせずワクチン接種率の低い若者」に問題があると我々が思い込まされる、メディアの「情報操作」に同根の匂いを嗅いできたようにも思う。

考えてみれば僕らも若かりし頃は「新人類」と呼ばれ、トレンド雑誌に「恋愛指南」のような内容が特集され、その記事の「やり方」に啓発され、「恋愛の真似事」を始めたようなところがある。その後、教員になってから生徒たちが「ゆとり世代」と呼ばれることを経験した。「(学習の)詰め込み過ぎ」という批判から教科書掲載教材が一気に減少し簡易になった。ゆえに「高次の学習が為されなかった」と批判されるが、当時の若者たちにはまったく責任がないことだ。もとより「若者」が悪いわけではなく、明らかな教育施策の失政こそが問題にされるべきだろう。揺り返し反動でその後の教科書が再び一気に教材が増量され編集されたことを考えると、何度くり返したらわかるのだろうか?と「教育」への質的・予算的な注視への疑義ばかりが浮上する。そこでもメディアが「ゆとり」「さとり」と若者にレッテルを貼って、社会構造の悪弊を押し付けたと言えるだろう。身近に向き合う若者を見回せば、ゼミの卒業生らは恋愛も忌避せず、卒業3年ほどで結婚にゴールした連中も何人も見られる。ゼミの飲み会で「恋バナ(恋の話)」を僕自身の体験を含めてした代もあった。ゆえに僕たちは考えなければならない、まずは身近にいる若者たち、親戚の若者たち、学生たち、短歌をやっている若者たち、彼らと世代間の偏見なく正面から素直に向き合うことである。「投票率」なども「若者が問題だ」という前に、自分の世代や周囲に声を上げればいい。

メディア情報の扱い方の怖さ
いつの時代も「若者は・・・」などと「大人」は訳知り顔で言った
教師を目指す若者たちと素敵な未来を夢見て歩みたいものである。


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